【高血圧】薬剤師と患者の対話形式記事【薬局】

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

前回に引き続き、高血圧の薬を処方してもらった患者さんを題材に高血圧の服薬指導を紹介したいと思います。


処方

【般】エナラプリル2.5㎎

1回1錠 1日1回朝食後 14日分

こんにちは。よろしくお願いします。

こんにちは。アンケートにお答えいただきありがとうございます。

高血圧を指摘されて受診したのですね。
まず血圧の薬は初めてのようなので確認させていただきますね。
血圧の数値はどのくらいでしたか?

2回測定して、1回目が176/95、2回目が165/90でした。

1カ月を平均すると160/90でした。

高血圧の状態が続いているようですね。

分かりました。ありがとうございます。

血圧が高いと指摘があった通り動脈硬化など予防するために高血圧治療が必要ですね。

はい、先生からもそうお話がありました。
なんでも、心電図から「左室肥大」が見られたようで心臓に負担がかかっている状態のようです。

なるほど、左心室肥大ということで心臓から全身に血液を送る部分がより筋肉質の状態(肥大)してしまっているということです。

遺伝的に心肥大になりやすい方もいますのでお父様が高血圧であったことからもその影響はあるかもしれません。

今回出されたお薬はどんな薬なんですか?

はい、今回処方されているお薬はアンギオテンシンIという物質から血圧に関わるアンギオテンシンⅡという物質を作り出さないようにする薬になります。主な血圧の上がり下がりの図は下のようなものになります(タブレットで流れを見せながら)

この図のように、アンギオテンシンⅡを減らすことで2通りの血圧低下作用を起こすことができます。
簡単にいいますと、「血液の量」と「血管内の広さ」を操作して血圧を下げることになります。

イメージはなんとなく分かりました。圧に関わるものを抑えるんですね。
なんだか怖い薬に思えるのですが大丈夫ですか?

血圧の薬の中では間接的に血圧の上下に関わる部分に働く、比較的安全なお薬になりますのでご安心ください。
また、このようなアンギオテンシンに関わる薬には「心保護作用」と「腎保護作用」がありますので安全性の裏付けがされています。
詳しくはこちらのサイトを参考にしてください(東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センターHP)
http://www.twmu.ac.jp/NEP/kouaturyouhou/kouaturyouhou-kouatuyaku.html

なるほど、くすりの特徴は分かってきました。

副作用で気を付けることはありますか?

エナラプリルのようなACE阻害薬は「空咳」という副作用がよく報告されているので気を付けるようにお伝えしています。

痰の絡まない持続性がある咳のことで、夜間に多く、女性、非喫煙者に起こる傾向があり、投与数週から数ヶ月後に出現することが多いです。

投与を中止することにより通常1週間以内になくなれば「空咳」の副作用であった可能性を考えています。

そうなのですね。咳がひどくなったときはまず薬を疑ってみます。

はい、よろしくお願いします。

最後に、飲み方について簡単にですが一緒に確認しましょう。

1日1回、1回1錠を朝食後に。14日分お試しで出されています。

飲み始めになりますので朝食後に”意識”して2週間続けてください。習慣化するために同じ時間に飲むように計画を立てて慣れていってください。

飲み忘れてしまった場合は前日分は考えずに当日分だけ服用してください。

飲み忘れがあったことは治療方針を考える際に必要なことなので必ず医師にお伝えしてください。

あっ、血圧測定も忘れずに行ってくださいね。

分かりました。やってみます。


お読みいただきありがとうございました。以上になります。

薬局における高血圧の薬が始まるまでの話を書かせていただきました。

血圧の数値が安定しない人はこのお薬に加えてカルシウム拮抗薬が追加されている印象を受けています。

この後、この患者さんの血圧の変化を含めた治療経過を篠原先生に作成して頂きますのでお楽しみに。



カテゴリー:投薬, 投薬【高血圧】

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