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私は49歳で胆石が発覚し、その後服薬治療を経て、6年後の55歳の時、手術で胆のうを摘出して、完治に至りました。

現在、胆石を患っている方が、この記事で私の胆石の治療の経過などをご覧いただいて、一助にしていただけましたら、幸いです。
もくじ
胆石の原因と症状
胆石のできる「胆のう」という臓器は、主に脂肪分を分解する胆汁を一時的に貯めて濃縮する袋のような臓器です。
胆汁成分が偏ってうっ滞してしまったり、細菌に感染したりして、胆のうの中に結石ができてしまったのが胆石です。
結石になってしまった成分によって、同じ胆石でも性質が異なります。一番多いのがコレステロール結石です。
食物繊維が少なく、脂肪分の多い食事、いわゆる欧米型といわれる食生活や肥満、加齢が原因といわれていますが、できやすい体質もあります。
結石が出来ても全く無症状の場合も多く、胆石があっても自覚することなく、一生を終える人もいるそうです。
しかし、何かのきっかけで石が胆のうを傷つけたり、胆管に落ちて引っかかったりすると、みぞおちや背中に激痛をもたらします。

胆石発覚から服薬治療
胆石が発覚する前、数か月に一回、必ず夜中にみぞおちが急に痛んで、夜眠れなくなることがありました。
かなり強い痛みで、「隣で寝ている家内を起こそうかな?」「救急車、呼ばないといけないかな?」と、感じるレベルです。
ところが、この痛み、朝になると何事もなく、けろっと、治ってしまうのです。
「あれ? お腹が痛かったのって夢だった?」と、思ってしまうくらいです。
当初、みぞおちが痛んだので、勝手に胃痛と思い込み、市販の胃薬を飲んでいました。
それからしばらくして、会社の健康診断で腹部のエコー検査をしている時、先生に「胆石があるね」と指摘されて、CTで再検査したところ、砂状の胆石である「胆砂」が確認できるとのことでした。
診察で、治療法は服薬で胆石を溶かしていく方法と、手術で胆のうを摘出してしまうという、二つの方法が提示されました。
先生の話では、胆のうが炎症を起こして激しい痛みが続いているとか、発熱があるとかでなければ、服薬して様子を見ながら、適当な時期に手術するという感じでよいのでは? というアドバイスだったので、服薬治療を開始しました。
すぐに手術の必要がないと言われれば、どうしてもしない方を選択してしまいますよね・・・。
薬は「ウルソデオキシコール」という、今では「胃もたれ」などの薬として市販もされている薬です。

この「ウルソ」という薬、古来から使われてきた「熊の胆」を化学的に合成した薬で、胆汁の流れをよくして、肝機能を改善し、胆石を溶かす効能があるのです。
手軽で薬価も低く、負担はないのですが、
・毎食後3回飲み続けなければならない
・効果があるのはコレステロール結石のみ
・溶かす効果はゆっくりなので、長期で服用の必要がある
・服用をやめれば再発してしまう
というデメリットがあります。
つまり、完治はしないので、ずっと飲み続けなければいけないんですね。
服薬後、たしかに肝機能の数値は改善し、周期的に襲ってくるみぞおちの痛みはなくなりました。
しかし、症状がなくなって全く元気なのに、毎食後に忘れずに薬を服用するって、結構大変です。
薬は不快な症状を治そうとして服用するものなので、症状がまったくないと、忘れてしまったり、「まあいいや・・」となりがちなんですよね。
6年間、ずっと服薬を続けていくわずらわしさや、胆石がまれに「胆のうがん」の原因になることもある、という話も聞いて、やっと手術をする決心をしました。

胆のう摘出手術
胆石の手術は、石だけを取りだすのではなく、胆のうごと摘出してしまいます。
胆石ができるような胆のうは、石だけを取り出しても、また再発してしまうからだそうです。
手術後すぐは、脂っこい食事をとると下痢をしたりするが、すぐに身体が順応するので心配しなくて大丈夫、とのことでした。
以前は開腹手術で、3~4週間の入院が必要でしたが、現在は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」という手法が主流で、入院期間は4~5日です。
私も入院5日で、火曜日に手術をして土曜日に退院、月曜から出勤して社会復帰というスケジュールでした。
手術は全身麻酔で行われ、お腹に3か所、1cmくらいの穴をあけ、それぞれの穴に「カメラ」「お腹を膨らませる炭酸ガスを注入する管」「摘出用の道具」を入れます。
切除した胆のうは、おへその中を切り開いて、そこから体外に出すという手順です。
全身麻酔なので、本当にあっという間に終わってしまった感じで、痛みも全く感じませんでした。
摘出後の胆石を見せてもらうと、直径2~4mmくらいの黒く光沢のある石が50個くらいありました。

人によっては直径数センチの大きさのものがゴロゴロ出てくることもあるそうです。
手術後は、その日から自分でトイレにも行けます。
手術後、痛いのはおへそを切り開いた部分だけで、寝返りや、小用で起き上がる時は、「イッ痛っ!」という感じですが、1週間後には痛まなくなりました。
切り開いた部分はおへその中側なので、傷跡は目立ちませんし、他に開けた3つの穴の傷跡はほとんど無痛で、すぐに目立たなくなりました。

術後の肩痛に注意
手術自体は順調だったのですが、手術後4~5日間、ひどい肩こりに悩まされました。
最初は長く寝ていたので筋を違えたのかと思っていましたが、何%かの人に、このような術後合併症がおこるとのことでした。
手術の時にお腹を膨らませた炭酸ガスが影響しているらしいのですが、まだ解明されていないそうです。
私の場合は立っていられないほどの肩の痛みで、吐き気もして食欲がなくなりました。
不快な症状が治まるのに1週間くらいかかりました。
完治して思うこと
約6年間胆石を患い、手術によって完治した現在、思うことは、
「早く手術しておけばよかった・・・」ということです。
忙しい毎日の中で、ついつい先延ばしにしてきた胆石の手術ですが、終わってみればあっけない感じです。
55歳という年齢的にも、自分の健康やこれまでの不摂生を見直したり、これからのことを考えるきっけになったので、この入院期間は貴重な時間になったと思います。
胆石を患っている方へ
私と同じように、みぞおちの激痛とか、いつもの腹痛と違う痛みを感じたときは、とりあえず、医師の診断を仰ぎましょう。
検査自体は簡単ですぐに終わりますよ。
胆石と分かったら、できるだけ早いうちに手術を受けてしまったほうがよいと思います。
手術というと、検査や入院のために会社を休んだりしなければならないし、手術自体、特に初めての人にとっては腰が重くなるのはわかります。
まさに自分がそうでした!
しかし、胆石の手術に関しては、痛みも少なく、受ければ完治します。
手術自体も多くの術例があって、難易度も低く安全な手術です。
不快な痛みに耐えたり、完治しない薬を飲み続けたりするよりは、絶対にオススメな方法だと思います。
まれではありますが、放置しておいて「がん化」などというリスクも考えられるので、胆石に悩んでおられる方は、この記事をきっかけに、手術を受けられてみてはいかがでしょうか。
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