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若い頃は全く気にしたことなかったけど…年齢を重ねるごとにちょっとしたことで腰が痛くなるようになったなぁ。
湿布を貼ったり薬を塗ってもあんまり良くならないし。
お医者さんに診てもらってもあんまり痛みは変わらない気がする。
腰の痛みを減らす、何かいい方法はないかな…?
今や国民病のひとつである『腰痛』。こんな悩みに頭を抱えている人は少なくありません。特に、男性の有訴者が最も多い症状は『腰痛』です。
以下は平成22年に厚生労働省が調査したデータです。

男女ともに腰痛に悩まれている方が非常に多いことが分かります。
今回の記事ではそんな腰痛をテーマに、理学療法士の目線から腰痛の本当の原因や効果を見込める解決策について掘り下げていきたいと思います。
今、実際に腰痛に悩まれている方にはすぐにでも役立つ内容になっていますので、是非最後までご覧ください。
もくじ
なぜ腰痛の悩みが絶えないのか

多くの人が悩まされているであろう腰痛。これだけ医学が発展していればある程度の痛みなら何とかなりそうなのに、どうして腰痛に悩む人は未だこれほどたくさんいるのでしょうか?
その大きな理由のひとつに
腰痛についての正しい知識が不足している
という点が挙げられます。
もちろん、腰痛の全てが『治る』とは言い切れません。疾患によっては服薬等を併用しながらうまく付き合っていかなければいけないものもあります。
一方で、正しい知識を持ったうえで正しい対処をすればあっと言う間に症状を軽減させられる『良くなる腰痛』も存在します。
むしろ、多くの人が悩まされている腰痛というのは『良くなる腰痛』であるケースが大半と言っても過言ではありません。
以下では、そういった腰痛を『良くする』ために必要な知識をお伝えしていきます。
腰痛は病名ではありません
まずは腰痛という言葉について正しく理解しましょう。この腰痛という言葉、病名として捉えているという方は多いのではないかと思います。
「腰痛」とは疾患(病気)の名前ではなく、腰部を主とした痛みや張りなどの不快感といった症状の総称。一般に座骨神経痛を代表とする下肢(脚)の症状を伴う場合も含みます。腰痛は誰しも経験しうる痛みです。
厚生労働省HPより引用
厚生労働省のHPで腰痛の定義を調べてみると、このような文で書かれています。腰痛という言葉自体は比較的抽象的なものであるという事が分かります。
腰痛が病名だと認識している場合、
『〇〇〇は腰痛に効く』
といった情報を見ると
〇〇〇を使えばどんな腰痛にもきっと効果があるんだわ!
というような捉え方をしがち。
大事なのは『腰痛の本当の原因』に効果があるかです。そして、それを判断するためには自分自身の腰痛の本当の原因を正しく知っている必要があります。
腰痛について最低限知っておくべき知識
腰痛をどうにかしたいと思った場合に、医療従事者のような専門的な知識は難しいとしても最低限知っておくべき知識について簡単にお話します。
病院に行ってお医者さんに診てもらえば、正しい指示を出してくれるんだから私は何も知らなくても大丈夫。
こんな風に考える方も多いと思いますが、自分自身で必要最低限の正しい知識を持っているという事は大切です。知識を持っていれば医師から説明を受けた時、より正確に説明内容を理解できますし、医師としても問診から正確な情報を得やすくなるため、誤診のリスク軽減に繋がります。
①腰痛の種類について知っておく
詳しい病名はともかく、腰痛には大まかな種類については知っておきましょう。
- 急性腰痛
- 慢性腰痛
腰痛は大きく分けると急性腰痛と慢性腰痛の2つに大別されます。
【急性腰痛】
発症から4週間以内の腰痛。ぎっくり腰や打撲痛などの腰痛は急性腰痛と言います。急性腰痛の場合、筋肉が炎症を起こしているので基本的に温めるのはNG。炎症が強くなり痛みが増悪する可能性が高いです。急性腰痛の場合は、炎症が治まるまで安静にすることが重要。患部が腫れていたり熱を持っている場合は急性腰痛である場合が多いので、湿布を貼るなら温シップではなく冷湿布を選びましょう。
【慢性腰痛】
腰痛が3か月以上続いている状態を慢性疼痛と言います。慢性疼痛は痛みの出ている部分以外にも問題があるケースが多くみられます。具体的にはストレス等の精神的な問題、内臓の問題、痛みが出ている部位とは違う部位の筋肉や関節の問題など。慢性疼痛は多くの場合、温めることで痛みが軽減します。また、筋肉や関節が硬くなって循環が悪くなっていることが原因となっている場合も多いので、無理のない範囲で筋肉や関節を動かすことが大切です。
ちなみに、腰の疾患として名前を聞くことの多い椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、座骨神経痛などはどちらに分類されるのかという話ですが、こういった疾患については大抵の場合、慢性腰痛として扱われます。基本的には適度に動かすことが大切ですが、無理して動かし過ぎると負荷がかかり炎症を起こす場合もあるため、動かし方や強度などは専門知識のある医師や理学療法士・作業療法士、柔道整復師などに指示を仰ぎましょう。
②原因は患部以外に多いという事を知っておく
痛みの原因となっている部位は腰ではないという可能性も視野に入れておくことは非常に重要です。ちなみに、腰が痛いと受診した場合、医師は腰の状態を中心に調べます。なので、実際腰の周りに異常所見が無ければ
うーん、画像には特に問題はありませんね。とりあえず湿布と痛み止めの飲み薬を出しておくので様子を見てみましょう。
こんな風に言われてしまう場合がほとんど。
腰痛の原因になる部位は様々ですが、今回は例として
- 猫背が強く、背中周りがガチガチな人
- 股関節周りの柔軟性が乏しい人
こういったタイプの人が腰痛になってしまうメカニズムと、その改善策についてお話していこうと思います。
長くなってきましたので、続きは腰痛の原因の多くは『腰以外』にある 後編をご覧ください。
ライター名(ランサーズ名):寺澤 慶大(テラサワ ヨシヒロ)
<経 歴>
急性期脳神経外科病院のリハビリ科で6年勤務
リハビリ特化型デイサービスで1年半勤務
脳神経外科病院併設のデイケアで4年半勤務
現在はデイサービスで機能訓練を行いながら自費診療で自身のクライアントのフィジカルケア、医療系コラムを中心としたWebライターのお仕事もさせて頂いています。
[…] ※今回の記事は、【理学療法士】腰痛の原因の多くは『腰以外』に【前編】の続編となります。まだご覧いただいていない方は是非【前編】からご覧ください。 […]