【臨床検査技師監修】尿酸値の異常を指摘されたら

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

こんにちは。運営のハルです。

今回は尿酸値について、特に検査値に特化して記事を作成していただきました。

「検査値がどのくらいの時、どのような行動をとればいいのか。」

ご自身の受診の目安にしていただけたらと思います。


尿酸値とは

尿酸とは、体内の新陳代謝によって「プリン体」という物質から生産された廃棄物のことです。このプリン体は、体に害を与えるものというイメージを持っている人が多いですが、実は生命を維持するための大切な物質なのです。

プリン体は、ほとんどの食べ物に含まれているので、日頃から食事を通して体内に取り込んでいますが、体内のプリン体全体の20~30%程度にすぎません。

プリン体の70~80%は、新陳代謝によって体内で生成されているのです。

また、食品のプリン体は細胞の核の中の核酸に含まれているため、食品中の旨み成分の役割を果たしています。例えば、細胞数の多い食品の魚卵や内臓などにはプリン体が多く含まれているので旨み成分の塊といえます。

食事による摂取や体内で生成されたプリン体は、運動や臓器を動かすための細胞の代謝などに利用され、肝臓で分解されて尿酸(廃棄物)となって尿や便として体外へ排泄されます。

肝臓で分解された尿酸(廃棄物)は1日に0.7g(700mg)産生され、1日で0.7g(700mg)が排泄されることで、体内の尿酸は常に一定量を保っています。

しかし、このバランスが崩れて血液中の尿酸の量が7.0mg/dlを超えてしまうと高尿酸血症と判定されます。

このことから尿酸値の判定の目安は7.0mg/dlとされています。

尿酸の測定

病院などの多くの施設では、尿酸の測定には自動分析装置を用いています。

自動分析装置とは、血液や尿などの検体を使ってタンパク、糖や酵素などの成分を測定する装置です。この装置1台で幅広い項目の測定ができるので、検体検査の中心的役割を果たしています。

尿酸は、この装置を使ってウリカーゼ・ペルオキシダーゼ法という方法で測定されます。この方法は、血液(血清)中の尿酸とウリカーゼという酵素を反応させて生成した過酸化水素を様々な工程で発色させて測定します。

検査には、血液を遠心分離した上清(血清)を用います。測定時間は、遠心分離作業を含めると結果が出るまでに30分程度かかります。

尿酸値の正常値と異常値について

尿酸の正常値は7.0mg/dl以下です。

尿酸値が高いということは、体外へ排泄されずに残った尿酸が血液中で溶けきらずに結晶化しているのです。

この結晶が関節(特に足の親指)に溜まると痛風を引き起こす原因となります。

そして、痛風を発症すると「激しい痛み・熱と発赤・腫れ」という特徴的な症状がみられます。

ただし、正常値を超えると必ず痛風を発症するわけではありません。尿酸値が高い状態を何もせずに放置しておくことで痛風を発症するリスクが高くなるのです。

尿酸値の異常は、数値によって3段階に分けることが出来ます。

7.0~7.9mg/dl    生活習慣の改善

8.0~8.9mg/dl    医師に相談(医療機関へ)

9mg/dl       薬物治療が必要

これは痛風をまだ発症していない方が当てはまります。

この痛風を発症していない方ですが、目標とする尿酸値というのは明確には決まっていません。

痛風の再発予防と尿酸値

痛風発作の再発予防には尿酸値を6.0mg/dl以下に抑えておく必要があります。

その理由は、血液内の尿酸濃度を下げないと関節などに蓄積した尿酸結晶が溶けずに残ってしまうためです。

他にも、尿酸値が上がるにつれて痛風を発症するリスクが高くなるだけでなく、様々な合併症を引き起こす確率も高くなります。

例えば、尿酸値が7.0~7.9mg/dlでは痛風の発症率は2%程度ですが、9.0~9.9mg/dlの発症率は20%とリスクが10倍に跳ね上がります。

尿酸の異常値を改善する方法

痛風発作の再発予防には生活習慣の改善がとても重要になってきます。

◆食事

プリン体を多く含む魚卵や魚や肉の内臓、甲殻類などの摂取を控え、食べ過ぎにも注意をしてバランスの良い食事を心掛けます。

◆水分

水やお茶などを1日に2L以上取るようにして尿量を増やして尿酸を排泄していきます。

ただし、ショ糖や果糖を多く含む飲み物は尿酸値上昇の原因となるので注意が必要です。

◆アルコール

尿酸=ビールのイメージがありますが、アルコール全般に尿酸を過剰生産する要素があるため飲み過ぎに注意します。

◆ストレス

ストレスは、尿酸値が上昇する原因の1つとされています。そのため、自分にあったストレス解消を見つけて楽しく続けていくことが大切です。

◆運動

ベンチプレスなどの無酸素運動は尿酸値上昇の原因となるため、水泳やウオーキングなどの有酸素運動を無理なく維持することが大切になります。

痛風発作が起きた場合

痛風は、発症してから24時間がピークといわれています。

そして、3~7日後には痛みが噓のように消えてしまいます。

だからといって、「数日我慢すれば治るから大丈夫!」と自己判断してはいけません。病院に受診して痛風発作治療薬などで患部の痛みを取り除くことをお勧めします。

そして再発を予防するためには、痛風発作が治まってからも通院することが非常に大事となります。

通院することで、生活習慣の改善と尿酸値降下薬を併用して、尿酸値を目標の6.0mg/dlまで下げていきます。

ただ、これで治ったわけではないので、生活習慣の改善と薬物治療を継続することが再発予防のためには非常に大切です。

まとめ

定期健診での尿酸値の高い患者さんのデータ履歴を確認していくと、異常(高尿酸血症)を指摘されていても未受診、無治療の人が多いようです。

たぶん、「まだ痛風になっていないから大丈夫!」「痛風になっても数日我慢すれば治るから平気!」といった自己判断などが大きな要因のように思われます。残念ですが、実際に私の周りにも何人もいます。

尿酸値が高い状態が続くと、痛風だけではなく尿路結石、慢性腎臓病(末期になると人工透析)、動脈硬化による脳や心臓の重大な病気になる発症率も高くなります。

このことからも定期健診などで、尿酸値が高い(高尿酸血症)を指摘されたら早めの受診をお勧めします。

そして、早めの対策で重症化を抑え、病気と上手くつきあっていきましょう。

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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