【ep 59】糖尿病の経験【糖尿病と結びつきにくい症状】

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入社用の健康診断で無自覚のまま告げられる

大学を卒業し、初めて就職活動を始めたのが27歳でした。
幸運にも私を受け入れてくれることになったのは、大阪の中堅規模のソフトウェア開発会社でした。

最終的に雇用の手続きを進めるために、健康診断を受け結果を提出するように言われました。
そこで、近所のクリニックへ行き診断を受けたのです。

1週間ほどで結果がでたので、受け取るために再度クリニックを訪問しました。
受付をし、名前を呼ばれたので診察室に入ると、椅子に座った瞬間にお医者さんから「糖尿の気配があるよ」と言われたのです。

私には全く自覚症状がなく、糖尿に関する知識もなかったために、『糖尿の気配』と言われても「ふーん、そうなんだ」というくらいの感情しか湧きませんでした。

背中が膿んで初めての糖尿治療

その後、会社の定期健康診断も受けることなく、約15年を過ごしていました。

そんなある日、寝ていると口の中に何か硬いものがあることに気づいて目が覚めました。
吐き出してみると、それは奥歯でした。
虫歯ではないのに、根っこから歯が抜けているんです。
その1本だけでは終わらず、その後も同じように数本抜けてしまいました

でも、それがなぜなのか全く分かりませんでした。
歯が抜けたので、まさか糖尿病と関係があるとすら思いませんでした。
元来、医者にかかることが好きではないし、特に歯医者には悪いイメージしかなかったので、相談もしませんでした

更に数年して、背中がかゆかったので、蚊にでも刺されたんんだと思い爪をたててかきむしったことがあったのですが、そこが膿んでしまったのです。
時折、首や脇やお尻に膿ができ、潰せば1週間くらいで元の状態に戻った経験があったものですから、この症状も放置していました

しかし、背中の膿んだ箇所はますます大きくなり、ついに直径8センチほどになり、熱が出るようになったんです。
さすがにこれはほっとけないと思い、ついに病院に駆け込みました。

診察を受けたところ、「即座に入院してください」と言われ、会社にその旨連絡し、母に頼んで着替えなど必要なものを持ってきてもらいました。
そして、次の日「手術が必要ですが、すぐにはできません。血糖値が600近くありますので、血が止まりにくいんです。まずは血糖値を下げる治療をします。」と診断されたんです。

この時初めて、「自分は糖尿病だったんだ。」「糖尿病がこんなことになるんだ。」と糖尿病に初めて恐怖心が湧きました。
この日からインスリン治療食事療法が始まりました。
しかも、10年以上放置してきたために「眼底出血も疑われるので眼科にかかってください」と言われ、診断してもらったところ、毛細血管が破れそうな部分がたくさん見つかり、眼球のレーザー治療も始まりました。

自覚がないにもかかわらず合併症につながる糖尿病

10年も糖尿病を放置すると、様々な合併症につながっていきます。
私に起きた『膿やすい・眼底出血・歯が抜ける』の症状以外にもあり、知識がないと全く糖尿病と結びつかない症状が現れることをこの入院で初めて知ることになりました。

入院して約2ヶ月間、背中の傷口を消毒しつつ、糖尿治療は続きました。
この間に色々な書物で糖尿に関する知識を入手しました。

血糖値の治療の効果が出て、ようやく手術にゴーサインが出たので6時間かけて手術を受けました。
糖尿は身を腐らせるので、その影響が及ぶ部分を全部削り取る手術になったので、時間がかかったそうです。

私は、ヘビースモーカーでお酒も好きでした。
お医者さんは、できればそれらを止めて、食事も血糖値が上がらないものにするようにアドバイスしてくれました。
「守らなければ死ぬぞ!」と、自分に言い聞かせる毎日でした。

フィリピン生活で再度糖尿病が悪化

4ヶ月の入院後、47歳になり、仕事の関係でフィリピンに移住することになりました。
糖尿病の専門医が比較的近いところに居られたので、そのお医者さんからアドバイスをもらいインスリンを供給してもらうことになりました。

この時点で、完全に『禁煙』はできていました。
しかし、お酒は量は減らしたものの、ココナッツから作られたフィリピン版焼酎が好きになり、寝る前にグラス一杯ほど飲んでいました。

58歳になった頃、夜中に小便で4、5回起きるものですから「何かおかしい」と思い、病院に検査に行きました。
検査の結果、なんと再び血糖値が600ほどあり、医師から「すぐに入院してください」と言われてしまいました。
5日間ほど入院し、血糖値を落ち着かせることができました。

食事を流行の『糖質制限食』というものに変えたのですが、自分には逆効果だったんでしょう。
それとフィリピン版焼酎!さらに、腎臓も悪化しており、もう訳がわからない状態でした。

再生医療の一種『PRP』が効果

ある日、ビジネスでお付き合いのあったフィリピンの病院のオーナーから、腎臓や糖尿病のことを聞かれたので状況をお話ししたところ、「うちで似た状況の患者にPRPを施したところ改善しているので受けてみては?」とアドバイスをもらいました。

PRPとは『多血小板血漿という再生医療の一種』で、関節の痛みに速攻で効くというくらいの知識しかありませんでした。
フィリピンでは再生医療に関する法律がなく、治療として大々的には行われていません。
ましてや糖尿病に効くという報告は、聞いたこともありませんでした。

「治療費はいらないし、数時間で終わるので今日治療しては?」と言われ、受けてみることにしました。
治療自体は、血液を抜いて、それに何かを施した後、体内に戻す簡単なものでした。

2ヶ月ほどして、たまに低血糖になるので血液検査をしました。
驚きました。
なんと、通常ha1cが9.7ほどあったのが6.9に改善していたのでした。
即座にインスリンを減らすようにアドバイスされました。

まとめ

まだ、インスリンを止めることはできませんが、血糖値は改善されています

さらに飲食で生活習慣をよく保っていれば、悪化しないと思います。
ああ、よかった、でも油断は禁物ですね。

無自覚だったり、糖尿病と結びつきにくい症状ですと、中々糖尿病治療へ辿り着けないかもしれません。
日頃から健康診断を受けたり、少しでもおかしいと思ったらかかりつけ医に相談したりしたほうのが、あまり悪化せずに治療に入れるかと思います。
皆さんが自分の体調を見直すきっかけになれれば幸いです。



カテゴリー:体験談

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木村彰男
木村彰男
2 months ago

PRPについて補足します。糖尿病の世界では汎網膜光凝固(panretinal photocoagulation)がPRPとして確立された治療であることから、それと区別するためにAutologous Platelet-Rich Plasma(PRP)gel療法という名前からAPGと略されています。
血小板に含まれている成長因子を利用して糖尿病性皮膚疾患(潰瘍)の効果が検討されています。(まだ、薬価は取れていません。)したがって、この記事の作者の糖化ヘモグロビンAが急激に低下したのは、別の原因だと思われます。
AGPは自分の血から血小板を取り出し、それにトロンビンとグルコン酸カルシウムを10:1の割合で混合し、血小板を凝集させてゲル状にして貼り付けることが糖尿病領域では試験的に行われ、評価されている途中です。しわやシミにも効果があるということから自費治療である美容外科ではこれを使っている場所もあります。

厳密にいうと自分の血小板を凝集させて自分で使うことから再生医療には分類されません。

iPS細胞で必要な成長因子を放出する細胞を作ることができる(再生治療)か、どの成長因子が効いているかが分かれば製薬会社の出番もあります。

参考資料
Picard, F., Hersant, B., Bosc, R. and Meningaud, J.‐P. (2015), The growing evidence for the use of platelet‐rich plasma on diabetic chronic wounds: A review and a proposal for a new standard care. Wound Rep and Reg, 23: 638-643.
https://doi.org/10.1111/wrr.12317

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