【臨床検査技師監修】赤血球数が健康のバロメーターとなる理由とは?

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

健康診断の結果で、赤血球数の数字を気にしたことはありますか?

多分、気にする人はあまりいないでしょう。

どちらかといえば、肝機能や腎機能、脂質、血糖などに目を向けることが多いのではないでしょうか。

そこで今回は、赤血球数の数値が高かったり、低かったときは、どのような病気が疑われるのかヘモグロビン(血色素)やヘマトクリット値も含めてお伝えしたいと思います。

赤血球とは

身体中を流れている血液は、赤血球・白血球・血小板の血球と呼ばれる細胞と血漿という液体成分で構成されています。

・赤血球の大きさは、直径が7~8μm(1μmは1mmの1/1000)で、中央が凹んだ円盤状の形をしています。

・赤血球の主な働きは、肺から受け取った酸素を心臓というポンプを使って体の隅々まで送り、不要となった二酸化炭素を回収して肺に戻すという運搬の役割を果たしています。

・赤血球成分は、大部分がヘモグロビンというタンパク質で出来ています。

・ヘモグロビンは、ヘムという鉄が含まれた赤い色素とグロビンという球状のタンパク質が結合したものです。これが酸素と結びつくことで全身に酸素を運ぶことが出来るのです。

・赤血球の寿命は120日で、赤血球は骨髄で作られて古くなった赤血球は脾臓で壊されます。

基準値(基準範囲)と異常値について

実は、血球数の基準値(基準範囲)は、検査をする施設によって多少異なります。

そこで今回は、健康診断で利用されている全国健康保険協会の基準値(基準範囲)を参考といたします。

〔基準値(基準範囲)〕

赤血球数:血液1㎟に含まれる赤血球の数をみています。

 男性 400~539万個または104/㎟)

女性 360~489万個(104/㎟)

ヘモグロビン(血色素):血液100ml中の血色素の量をみています。

 男性 13.11~16.6(g/dl)

 女性 12.11~14.6(g/dl)

 *赤血球が基準値(基準範囲)でもヘモグロビンが少ない場合は貧血となります。

ヘマトクリット値:血液中に含まれる赤血球の容積の割合を示しています。

 男性 38.5~48.9(%)

 女性 35.5~43.9(%)

〔異常値(要治療)〕

赤血球数

 男性 360(104/㎟)未満   580(104/㎟)以上

女性 330(104/㎟)未満   520(104/㎟)以上

ヘモグロビン(血色素)

 男性 12.0(g/dl)未満   17.6(g/dl)以上

 女性 10.7(g/dl)未満   15.5(g/dl)以上

ヘマトクリット値

男性 35.0(%)未満     52.0(%)以上

 女性 31.0(%)未満     46.0(%)以上

〈低値〉

低値を示す場合は、貧血・臓器からの出血・生理などの場合があります。

貧血には、よく知られている鉄欠乏性貧血だけでなく、内臓の機能低下や癌などの病気が原因となっていることもあります。また、貧血になると動悸・息切れ・めまい・倦怠感などの症状がみられます。

急激に起きた貧血の場合は、日常生活に支障をきたすことや意識を消失することがあり、慢性的な貧血の場合は症状がほとんどみられません。

〈高値〉

高値を示す場合は、多血症(赤血球増多症)が疑われます。

そして、赤血球が増える場合、絶対的多血症見かけ上の赤血球増多症に分けることができます。

絶対的多血症は治療の対象となり、見かけ上の赤血球増多症は脱水やストレスなどで血流が濃縮されて粘調度が高くなり血栓が出来る場合もあります。

多血症の症状では、頭痛・集中力の低下・赤ら顔などがみられます。

この症状が悪化してくると、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓が原因となる病気になるリスクが高くなるので注意が必要です。

測定方法について

血液1㎟内に500万個の赤血球が含まれているので、これを顕微鏡でカウントすることは非常に困難です。そこで測定するには、自動血球計数装置が用いられます。

この装置の測定原理は、電気抵抗法が用いられています。

この方法は、装置内に吸引されて食塩水で薄められた血液が、装置内の小さな穴を通る時に血球があまり電気を通さないという特徴から血球の種類を見分けてカウントしていきます。

この装置を使うことで赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット・白血球・血小板だけでなく白血球5分類(好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球)などもカウントしてくれます。

測定時間も5~10分程度で結果が出てきます。

ただし、この検査は、その時の血液の状態をみているので必ず同じ数値になることはありません。

治療について

低値異常の治療

異常低値は、貧血でみられることが多いことから、原因となっている病気を探りあて治療する必要があります。

貧血の原因には、赤血球に必要なタンパク質と鉄分の不足、胃腸の病気、潰瘍などの出血、骨髄の異常などがあります。しかし、貧血に関する特別な治療法というのはありません

貧血の原因となる病気が治療で改善しない時は、骨髄を刺激して赤血球を産生させる薬が投与される場合もあります。

また、貧血が重症化したときは輸血を行なうことがあります。

高値異常の治療

真性多血症と診断された場合は、瀉血(しゃけつ)といって赤血球をコントロールするために一定の血液を抜く治療を行います。

また、骨髄内の血球を作る細胞の働きを抑えるために抗がん剤などを使用したり、血栓ができるのを予防するために抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用したりもします。

ストレスによる多血症の場合は、血栓ができないようにストレスの解消と生活習慣の改善に努める必要があります。

まとめ

赤血球数は体調によって変動するので、その時の血液の状態を知ることができます。

健康診断の結果を見て、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの値が基準範囲内を超えてしまった時は、病院に一度受診して医師と相談することをお勧めします。

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



カテゴリー:”薬”立つ情報, 臨床検査技師【検査】, 臨床検査技師【検査値】, 検査値

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