【ep64】大腸ガンの経験【貧血かと思ったら…】

この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

私は現在の年齢は32歳ですが、2年前の30歳の時に大腸ガンが見つかり、それがその後の生活にも大きく影響を与えるようになりました。
今でも3ヶ月に1度の精密検査をしています。
自身だけではなく周りの人、妻や親にも大変な心配をかけました。
この記事を読んで下さっている方に少しでもガンの怖さを認識してもらい、日々の健康管理には気を遣うよう役立てればと願っています。

もくじ

ガンが見つかるまで

健康診断で見つかった『貧血』

私は会社員で、当時はガラスメーカーの営業職として働いておりました。
その当時は営業活動で出張も多く、県内外問わず幅広いエリアを動き回っており、かなり忙しくしている日々でした。
そんな中、最初に異常が現れたのは、会社で年に1回行われる健康診断結果でした。

結果内容は、赤血球やヘモグロビンといった血液に含まれている成分が低下しているとのことでした。
要は貧血ですが、基準値よりも少し低い程度だったこともあり、私は全く気にもせず、当然病院にも行かず、いつも通り働き続けていました。
それがガンの前兆であり、特に何もせずほったらかしにしたことを私は後々に大きく後悔をすることになります。
貧血ガン、素人目線の私では関係があるとは思えませんでした。

それから1年が経過し、翌年の健康診断の結果では基準値の3分の2程度と、更に悪化した数値が出ました。
それでも私はただの貧血くらいのものと軽く考えており、その年もそのまま病院へ行くことはなく、ほったらかしにしていました。
後に分かるのですが、その数値はいつ倒れてもおかしくないくらいのかなり悪い値だったそうです。

体調を崩し、消化器科へ

そうしているうちに、ついに本格的に体調にも不具合が生じるようになってきます。
便秘が続き、歩けなくなるほどの激しい腹痛に幾度となく襲われるようになってきたのです。

そのような状況が続くため、ようやく私は近くの消化器のクリニックへ受診するようになりました。
会社の健康診断の結果を先生に見せると、先生の顔色が変わり、すぐに精密検査をすることになりました。

大腸の内視鏡検査をすることになったのですが、そこでも異変が起きました。
検査前には腸の中を空にしないといけないため、下剤を飲んで便を排出するのですが、腸が閉塞し下剤を飲んでも便が排出できなかったのです。
激しい腹痛に襲われ、そのまま緊急で総合病院へ入院することになりました。

結果としてみれば、この時すでにガンが進行しており、それにより腸が閉塞していたのです。

その日から肛門から便を排出するために管を入れられ、食事も絶食する日々となりました。
最悪の一日でした。
しかし、まだこの時はガンになっていることを知りませんでした。

ガンの宣告から退院まで

ついに告げられたガン

緊急入院してからは、更に検査が続きました。

おそらく腸閉塞くらいで、まさかガンだとは思ってすらいない私は、点滴の管や肛門からの管、絶食する日々を耐えるのが大変で、ストレスが溜まってしまいました。
何よりも緊急で入院したため、仕事のことが気になって仕方がありません。

入院してから検査結果を待つ1週間の間、いつ退院できるのか先が見えず、医師から何も説明もなく過ぎていったため、不安な気持ちもかなり強くなっていました。
そんな様々なフラストレーションが溜まり、医師や看護師さんに不満を漏らすようになり、かなり強く当たってしまいました。
その時は本当に申し訳なかったです。

そして、1週間後にようやく医師から説明があるとのことで、家族と一緒に説明を聞きました。
何か重苦しい空気があったので、私はまさかと思いました。

病名は大腸ガン
急にガンを宣告され、それを聞いたときは本当にゾッとしました。

医師からはガンも進行しているので、抗がん剤治療も必要になると言われました。
私の頭は真っ白でした。
「自分は死ぬのか?」と死を真剣に考えました。
何よりも家族、特に母親のショックを受けた顔は忘れられません。
治療を進めるため、1週間後には腹腔鏡の手術を行うことになりました。

大腸がんについて、色々と調べてみる

私の心の整理ができたのは翌日で、意外と早く冷静に病気と向き合えていた自分がいました。
病院からもらった資料と自分でもネットで大腸ガンについていろいろと調べてみました。

大腸ガンは、肺ガンや胃ガンに並び日本人が多く発症するガンの1つです。
他のガンと比較しても、まだタチが良い方で、見つかった時に転移さえなければ5年の生存率も高い方です。
また、大腸には『上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸』の部位があり、私の場合には幸いにも術後の後遺症も少ない『S状結腸』でした。
あと少し下の方だと、直腸を取り除くことになるので、生涯ずっと人工肛門になるところでした。
ちなみに、大腸ガンは直腸に発症することが多く、次いでS状結腸が多いそうです。

大腸ガンは進行の程度によって0~Ⅳまでステージが割り振られており、
・0 ⇒ ガンが粘膜の中に留まっている状態
・Ⅰ ⇒ ガンが大腸の壁の中に留まっている状態
・Ⅱ ⇒ ガンが大腸の壁の外まで浸潤している状態
・Ⅲ ⇒ リンパ節に転移有り
・Ⅳ ⇒ 他臓器に転移有
といった具合になります。

また、大腸ガンでのそれぞれの5年生存率は
ステージ0で約94%
ステージⅠで約91%
ステージⅡで約85%
ステージⅢで約60~77%
ステージⅣで約19%
となっておりました。
当然ながら初期に見つかる方が生存率は高く、ステージが上がるにつれ生存率は低くなります。
Ⅳ(他臓器への転移)となればかなり生存率は下がります。

入院しながら、日々、こういった大腸ガンについて調べるにつれ、私の心の中で何とかなるのではないかとポジティブな感情が芽生えていました。
何よりも手術して退院できることを想像できるようになってので、その嬉しさが勝っていたのかもしれません。

手術当日

そして手術当日を迎えました。もともと臆病な私はかなり緊張しながら、母親と妻に見送られて手術室に入りました。
手術室にいる医療スタッフのみなさまのおかげもあって、手術室に入ってからは少しリラックスできました。

医療従事者の方の心温まる行為の数々には頭が上がりません。
本当に尊敬します。

緊張も和らいだところで、麻酔に入り、いつの間にか眠っていました。
13時にスタートした手術が終わり、目が覚め病室に戻ったのは19時ごろでした。

体中にはいろんな管が入っていました。
腕からは点滴、背中からは麻酔、お腹からはドレーン、中でも一番つらかったのは尿管です。
尿をずっと我慢して放出したいのに、尿が出ないような感覚です。
耐え切れず、看護師さんに「抜いてくれ!」と叫んでしまうほど気持ちが悪かったです。
また、麻酔が抜けていくにつれお腹の傷口も痛みが激しくなり、お腹を刺されたらこんな痛みの感覚なのかなと思いました。

手術後の経過

手術の翌日には点滴以外の管は抜けましたが、お腹の傷口はまだまだ痛み、咳すらもできないくらいの痛みでした。
腹筋を使うことができないので起き上がることもできず、リハビリの方に手伝ってもらって、ようやくトイレに行けるような状態でした。

食事が許されたのは手術から3日後のことで、粥程度のものから徐々に食べられるようになりました。
食事自体は3週間ぶりだったのですが、思ったよりも感動はありませんでした。
そんな日々も過ごし、手術から1週間後、ようやく退院の日を迎えることができました。

抗がん剤治療

抗がん剤治療と副作用

退院後の最初の診察で医師から告げられた具体的なガンの進行度はステージはⅢ(リンパ節転移あり)で、抗がん剤治療の適応となるそうです。
目に見えるガンは手術で取り除いたが、細胞レベルの微細なガンを抑えるために必要な治療です。

実際のところ、入院や手術も大変でしたが、抗がん剤治療の方がもっと辛かったです。

病院へ行き『オキサリプラチン』という抗がん剤の点滴を受け、『ゼローダ』という内服薬を朝晩毎日5錠ずつ2週間飲み続け、1週間は休憩のインターバル期間を置く3週間サイクルの治療を3か月間続けました。
また、内服薬の『ゼローダ』は6ヶ月間飲みました。

抗がん剤なので当然ながら副作用もあり、個人差はあるものの私は酷かったようで『手足のしびれ、口のしびれ、倦怠感、吐き気など』の症状だけではなく『発熱、肝臓の炎症』が出て、苦しい日々を送りました。
抗がん剤を飲むと髪の毛が抜ける印象が強いですが、この薬ではあまりないようで、実際に私も抜け毛の症状はありませんでした。
副作用のこともあり、肝臓の炎症を抑える『グリチロン』や『ウルソデオキシコール』といった薬も同時に服用しておりました。

生活に出る影響

食事に関しては、毎回『オキサリプラチン』の点滴をしてから、1週間ほどは気分が悪く食欲もなくなるため、フルーツやゼリーを中心に食べておりました。
何もする気力がないので、ほとんど寝たきりに近かったです。
食材も特にダシを使用した料理はにおいを嗅ぐだけで気分が悪くなったため、和食系、うどん、そばなどは食べられませんでした。
しかし、点滴から1週間ほど経てば徐々に食欲も戻り、体調は良くなってきます。

仕事に関しては退院して約2週間後には復帰しましたが、抗がん剤治療の副作用もあり、退院後も抗がん剤治療中の6ヶ月間の半分は休んでいました。

そして、抗がん剤治療は終わりましたが、治療後だからと言って必ずしも体調は万全ではありません。

しかし、会社からの理解を得られず、治療も終わったからということで、ガンが見つかる入院前の最大限の仕事量を求められました。
そこで折り合わずその会社は退職することとなり、今でも仕事が不安定で定まらず苦労をし続けています。

今の治療状況

病気の方は今でも基本的に3ヶ月に1度、『CT造影検査・血液検査・大腸カメラ』などの精密検査をしています。
ガンになると5年間は経過観察の期間となりますので、定期的に精密検査を受ける必要があります。
経過年数によって間隔は空いていき、3年目で3ヶ月に1度、4~5年目は半年に1度のペースになるそうです。
幸いにも2年経ちましたが、経過は良好です。

おわりに

このように私は大腸ガンになってとても大変な思いをしました。
今も治療は続いているので、大変な状況であるかもしれません。

病気は早期発見・早期治療できるに越したことは無く、病気が進行して大事になる前にもっと早く病院で精密検査を受けるべきだったと後悔しています。
そうすれば、家族にも会社にもここまで迷惑をかける事態にならなかったと思いました。

みなさんもそうですが、人は必ず誰かから必要とされています。
自分一人の命ではない】私はそのことを実感しました。

今ではタバコも酒も辞め、定期的な運動も心掛け、健康にかなり注意するようになりました。
健康・命はとても大事ですが、お金・経済面も生きていく上で大事なので、健康を維持できる程度にお金を稼ぐことが大事だと私は思います。



カテゴリー:体験談

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