【ep71】心臓弁膜症【加齢と間違えやすい症状】

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

私は現在50代前半の男性ですが、5年ほど前に心臓弁膜症を患いました。
そのことについて書きたいと思います。

心臓弁膜症とは

心臓弁膜症とは心臓内部の弁が何らかの原因で機能不全に陥ることです。
●弁の動きが悪くなって血液が流れにくくなる状態の狭窄症
●弁が完全に閉じず、血液が逆流する状態の閉鎖不全症
があります。
後者は血液が逆流しているので逆流症ともいいます。

心臓には4つ弁がありますが、弁膜症で問題となるのは左心側の弁です。
左心房と左心室の間の『僧帽弁』と、左心室の出口の『大動脈弁』に問題がおき、狭窄症と閉鎖不全症になります。

この病気は徐々に心臓の負担が増していき、心臓はその負担を自力で補おうとするため、症状が分かりにくく加齢と勘違いしやすい病気です。

心臓弁膜症と診断されるまで

私の場合、自分では気付かず、職場の健康診断で産業医の先生が聴診器で心雑音を見つけてくれました。
弁の損傷による血液の逆流で生じる心雑音でした。

要精密検査の指示を受け、翌週ちょうど私の家内が以前勤めていた循環器科を受診しました。
心エコー検査の結果、「大動脈弁閉鎖不全症です。心臓肥大もあり、逆流量は60%です。即、手術の対象ですので、オペのできる専門病院を紹介します。」との診断で、びっくりしました。

思い当たる症状

診断を受けた当時の私が思い付く症状を挙げます。
これらは診断後、改めて考えてみて「そういえば…」と感じた内容で、産業医の先生が気付いていなかったら私も気付かないままで症状がもっと進行していたに違いありません。

息がしにくいときが、割と頻繁にありました。
 →しにくいけど出来ないわけではないので、そんなに気にしませんでした。
●下肢に若干のむくみがありました。
●夜中、息苦しくて目が覚めることがありました。
 →座ったら回復するので、落ち着いたら再度就寝していました。疲れすぎかなぁと思っていました。

このような症状でしたが、これらは心不全の症状とのことでした。
しかし、症状自体そんなにひどくは感じず、当時45歳を過ぎた私は、「段々と体力も落ちてきたのか。年だな」程度に思っていました。
自分では気が付かなかった、あるいは気にしていなかった、ということです。

検査で判明した原因

 紹介された心臓専門の病院では心臓に関する精密検査を行い、診察を受けました。

行った検査は、
・レントゲン
・心エコー検査
・動脈硬化検査
・冠動脈血管撮影
・肺活量検査
・血液検査

だったと思います。

ここで、改めて大動脈弁閉鎖不全症と診断を受けました。
先天性二尖弁だったようです。
本来、大動脈弁の弁葉が3つあるものが、私の場合は2つでした。
(完全に2つではなく、3つの内2つは正常で、1つの形が小さくいびつな奇形だったそうで、その奇形の弁には感染症の跡があるとのことでした)
それが原因で、心室拡張時に弁がうまく閉じず、血液が逆流しているとのことでした。

手術とその後の経過

 主治医からオペの説明を受けました。

●従来の『胸の中央を大きく開く方法』と『右肋骨間を10数cm切って、そこから弁へアクセスする方法(ポートアクセス)』があります。
あなたの場合まだ若く、動脈硬化もないから、体への負担か少ないポートアクセス法が適応できると思います。

●いずれにしても、心臓を止め6時間以上の大手術になります。

●弁は切除して交換しますが、弁には生体弁(牛、豚などから作られる)と機械弁があります。
 ・生体弁は血液凝固の心配がないため、心房細動が出なければワーファリンの服用は短期間で良いです。ただし、耐用年数が約15年と制限があります。
 ・機械弁はほぼ無期限に使えますが、血液の通り道に異物が入るため血栓ができやすくなります。そのため、血液をサラサラにする薬を飲み続けなければいけません。
ということでした。

機械弁

私は年齢的に、機械弁を選択しました。
高齢の方や、若い女性でも出産を希望されている方などは生体弁を選択されるようです。
若い方で生体弁を選択された方は、弁の寿命が来る前に弁交換の再手術が必要となります。

手術の準備

 主治医、主刀医のスケジュールから、手術は1ヶ月先の9月はじめとなりました。
それまで、極力自宅で安静にするよう指示を受け、何度か必要な検査を受けるために通院しました。
仕事は会社と相談して、盆休みまでは半日勤務、盆以降は病欠としました。

 9月に入ると入院です。
オペの前日に入院し、翌日午前10時からのオペでした。
術後、薬を飲み始めると納豆を食べてはダメとのことなので、前日に家内に納豆巻きを買ってきてもらったのを覚えています。
人生最後の納豆でした。

手術当日

 当日朝、体毛処理の後、車いすでオペ室に入りました。
病室の時点で点滴をセットされましたが、安定剤か何か入っているのか、その後はあまり覚えていません。

術後、ICUで目覚め家族が面会に来てくれたようですが、これもあまり覚えていません。
ただ、ICU内でもリハビリがあり、きつい麻酔が効いてフラフラな状態で看護師さんに支えてもらいながら何歩か歩いたのを覚えています。

手術後の経過

 ICU2日目、病室に戻りました。
最初のうちは個室を用意してもらいました。
診察は毎日あって、朝に撮ったレントゲンを見ながら、血液の状態、特にPT-INR値をコントロールすることが目的と思います。
それと、リハビリを頑張るよう強く言われました。

若い人であれば1週間程度で退院する人もいるようですが、私は2週間かかりました。

体調は比較的順調に回復したのですが、PT-INR値が定まらなかったため、少し時間がかかってしまいました。
直前に食べた納豆巻きがいけなかったのかもしれません。
納豆菌は腸内に留まってよくないらしいです。

退院と日常での注意点

オペ後2週間ほどでPT-INR値も安定し退院することができましたが、体力が完全に戻ったわけではなく、しばらくは『微熱が出たり、気持ち的な不安、食欲不振、睡眠障害』が続きました。

退院時に受けた注意事項は、以下です。

●血栓予防のため、血液は通常の3倍ほどサラサラです。
ケガをすると血液が流れやすいので、ケガをしないように気を付けて下さい
頭やお腹への負傷は特に気を付けて下さい。
万が一、ケガをして血が出てしまったら、とにかく縛って押さえるようにしてください。

●ワーファリンは、決められた量を欠かさず飲んでください。
量は勝手に変えないでください。
もし飲み忘れたら、半日後までなら薬を飲んで、半日を回っていたらその日の分は飛ばしてください。

●ワーファリンの効果を狂わせる食べものがあるため、食事には気を付けてください。
納豆、クロレラ、青汁はダメです。
野菜ジュースはなるべく控えて頂き、緑黄色野菜も控えめにして下さい。
野菜の量は、日々、あまり変えないようにしてください。

病院にかかるときは、ワーファリンを飲んでいることを伝えてください。
特に抜歯の時、手術を予定するときは循環器の病院にも相談してください。

とのことでした。

 ワーファリンは毎日飲み続けなければなりませんし、弁置換はしましたが、現在も大動脈閉鎖不全症の治療中ということらしく、毎月定期診察に通っています。

診察では、
●PT-INR値を調べ、向こう1ヶ月分の薬の量を決めて処方してもらう
●その他、体調などに変わりはないかの問診
を行います。

退院当初の気持ちの不安、睡眠障害などは心療内科で見てもらいました。
医師に話を聞いてもらったことで少し楽になりましたし、軽い睡眠剤や安定剤を処方されました。
これは今でも私のお守りです。

手術後に感じたこと

退院後、ケガなどしないように気を付けています。
釣りが好きで、以前は渓流釣り、アユ釣りなど、また海はイカ釣りなど、シーズンに10数回は出かけていました。
しかし、退院した年は行くことができず、その後も安全な場所を選んで年に数回行く程度です。
安全な場所=釣れない場所で、全然楽しくないです。

毎月の検診では、PT-INR値が高いと、「薬がよく効いているなぁ」くらいの感じでしたが、これも度が過ぎるとよろしくないんです。
慢性硬膜下血腫』の体験談も書かせて頂きましたので、よろしければそちらもご覧ください。

出来れば血液サラサラの薬は飲みたくはないです。
でも、たぶん、この病気では治療法は確立されているのでしょうから、
●決まった時期に定期的に病院に行くこと
●決まった量の薬は忘れないように毎日飲むこと
●食事はなるべく安定したものを摂ること
●お酒は控えること

などに気を付けながら、この先ずっと薬を飲み続けます。

それと、他の数種類の薬を併せ飲んでいます。
・バイアスピリン1錠(100mg)/日
・メインテート1錠(2.5mg)/日
・ルプラック0.5錠(4mgの半錠)/日
・ネキシウムカプセル1カプセル(20mg)/日
因みにワーファリンは大体3.5~3.75mg/日です。

ワーファリン以外の薬は、オペをした病院で出されたものそのままです。
心臓の専門病院なので、私はこの内容を信頼して服用しています。
他の病院にかかったとき、「ワーファリンとバイアスピリンを一緒に?」って言われたこともありますが、私はそれなりに理由があるのだろうと思っています。
あと、普段見てもらっているかかりつけの医院は私の家内が以前看護婦で勤めていたところなので、こちらも100%信頼しております。

それから、これは大したことではありませんが、風呂で湯船に浸かっている静かな時とか就寝前のひと時に、弁が動く音が聞こえる場合があります。
というか、聞こえる人には毎日聞こえると思いますし、私は聞こえます。
「耳障りだ」とか「気持ち悪い」と感じる人もいるようですが、私は「弁がちゃんと動いてくれている」と思うようにしています。
そんなに大きな音ではないです。

まとめ

 心臓弁膜症は分かりにくい病気です。
初期の症状は普段の疲れと似た症状だからです。

最近、CMでも弁膜症の注意喚起のものを目・耳にすることがありますが、まさにその通りです。
心臓が頑張れている間はまだいいんですが、心臓が頑張れる限界を超えると、元には戻らないそうです。
心当たりのある方は、是非一度専門医に診てもらってください。

また、入院していて思ったことは、この病気も含めて心臓の病気は高齢な男性が圧倒的に多いということです。
おばあちゃんや若い男性は稀でしたし、若い女性は皆無でした。
ちなみに、当時の入院患者で46歳の私が一番若かったようです。

心臓弁膜症にかかっている人へ

 この病気の治療費は高額になります。
高額医療の払戻しが適用になるので、健康保険の窓口で事前の手続きをお勧めします。
入院前に手続きを済ませておくと、今回の医療費から高額医療の払戻しを計算して請求され、支払い時に少ない金額で済みます。
(後の手続きでも、申請すれば戻ってきます)

高額医療時の負担額は収入で違いますので、健康保険の窓口で確認してください。
ちなみに、弁置換術のトータルの医療費は比較的高級な日本車が1台買えます。
それと、高額医療の計算は月単位です。
月初めに入院してその月内に退院するように計画すれば、医療費は最小限で押さえられます。

 心臓弁膜症で弁を置換した場合、申請すれば1級身体障害者となり、障害者手帳が交付されます。
また、条件によると思いますが、障害年金受給の対象となる場合があります。
役所などで確認してみてください。



カテゴリー:体験談

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