【ep 72】慢性硬膜下血腫【心臓弁膜症治療中に発症】

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

私は以前心臓弁膜症を患って以来、ワーファリンという血液をサラサラにする薬を飲み続けています。
血液内に血栓ができるのを防ぐためで、規定量飲んでいます。

今回は、そんな抗凝血治療が原因だと思われる状況で慢性硬膜下血腫を発症した経験をお話ししたいともいます。

もくじ

心臓弁膜症治療中の状態

補足:筆者は前回記事にしてくれた心臓弁膜症治療をされていた方です。

冒頭の通り、私はワーファリンを服用しています。
これにより、血液のサラサラな度合は普通の人の3倍ほどとなり、血栓を予防してくれています。
血栓ができてしまうと、『脳梗塞心筋梗塞肺塞栓』などの重い病気の原因になることがあるので欠かせません。

しかし、血液がサラサラの状態だと、それはそれで気を付けないといけないこともあります。
サラサラが過ぎることによる、体内外への出血の危険です。

血液のサラサラ度を表すPT-INRという値があり、人工弁置換をした者は数値を定められています。
私のような50歳程度の者の場合、2.0~3.0と定められており、この値を毎月計測して1か月間のワーファリンの量が決められます。

食事の関係だと思うんですが、私はこの値が結構不安定で、今までを振り返ると2.8とか3.0とか、時には3.4とかになったりしていました。
3.0を超えるとワーファリンの量を減らすのですが、傾向として高めだったように思います。

突然の慢性硬膜下血腫

そんな時、急に起こったのが『慢性硬膜下血腫』でした。
本来は、『慢性』なので少しの出血が徐々に能を圧迫し、徐々に症状が出る病気とのことです。
しかし、私の場合は突然だったのです。

原因と思われること

最初は、自動車事故を起こしたのでそれが原因で起きたかと思いました。
事故の規模は単独事故で、側道へ脱輪しただけなので他に被害もなく幸いでした。
この事故では頭を打っていないのですが、
●頭部左右両側から出血があった
●事故からオペまで10日くらいと早すぎる
などの理由から、出血の原因は事故ではなく抗凝血治療の副作用と言われました。

手術前後の様子

事故をしてから記憶が全然ありません。
娘の卒業式、入学式も行ったようですが、覚えていません。
次に覚えているのが、オペ後です。

額の左右両側に穴をあけられ、60ccほどの血を抜いたとのことでした。
額はステンレスの針金で留められていて、自分が見ても痛々しい姿でした。

私は入院があまり好きではないので一泊入院で即帰りましたが、ここからのリハビリが大変でした。
退院後2日間ぐらいは特に変わりなかったのですが、3日後くらいに急に右半身が動かなくなり、呂律も回らなくなりました。
スマホでメールを何人かに送ったのですが、普通であれば考えなくても打てるスマホの文字入力が打てませんでした。
また、50音の縦横の並びが分からなくなりました。
硬膜下血腫は痴呆の症状が出る』と言われますが、まさにその通りでした。

ちょうど日曜だったのですが、救急で見てもらいました。
(治療中と同じ病院です)
救急でしたがCTも撮っていただき、主治医に連絡していただきましたが、画像ではオペ後と変化は認められなかったので、様子を見ることになりました。

右手も積極的に動かしたりとリハビリを続け、徐々にですが良くなっていきました。
2ヶ月くらいで言葉も治り、右腕も使えるようになりました。

私にとってはっても長く感じましたが、主治医からは「若いと回復も早いね」と言われました。

漢方を使った治療

オペから2か月、未だ右側に血腫が多く残っていてどうするかとなった時、私は『引き続き、服薬で治す方法』を主治医にお願いしました。

私は入院が嫌なのと、薬(漢方薬)でこの病気の治癒の症例があるというのをネットで見つけたためです。
主治医も同意してくれ、「この先3か月間を目途に漢方薬を中心に飲んでみましょう」と『五苓散』という漢方薬を処方してくれました。

この漢方の効能は『体の水分循環を改善し、余分な水分を排出してくれる』とあります。
オペ後から出ていた薬ですが、経過もいいのでそのまま続けるということです。

その他、止血剤としてカルバゾクロムスルホン酸Na錠と、脳を落ち着かせる薬でしょうか、イーケプラ錠500mgを処方されました。
(これら、オペ後から処方されていた薬です)

3ヶ月間、定期的にCTで状態を見ながら徐々に血腫の量が少なくなっているのを確認しました。
そして3ヶ月後、完全に血腫が無くなったわけではないが、状態もだいぶん回復してきているので、治療は完了となりました。

以来、
ワーファリンの効果に気を付ける
頭部の打ち身には特に気を付ける
といったことに気を付けながら生活しています。

病気になって感じたこと

この病気を患って一番困ったことは、発症すると自分で自分をコントロールできなくなるため、家族に迷惑をかけてしまうことです。
私の場合、家内は元看護婦で病人への接し方は普通の人よりは理解できていたでしょうが、それでも私自身、1ヶ月少しの間どうなっていたか全然記憶がありません。

オペの後、結果的にリハビリでよくなっていくのですが、良くなるまでは体が不自由で頭の働きも完全ではない私にとっては不安でしかありませんでした。
家族も心配だったと思います。

この病気は普通であれば頭部を打ったなどの場合に発症しますが、数週間~数ヶ月遅れて発症するため、本人は忘れていることが多いです。
周りの人ならなおさら、分かりません。

現在、抗凝血治療をしている方へ

血液をサラサラにする薬を飲まれている方は、頭部の打ち身には普通の人の何倍も気を付けなければいけませんし、ワーファリンの効き具合によっては内部に出血することがあるということを気にしていてください。
かかりつけの医師とコミュニケーションをしっかりとり、ベストな状態を保ってください。

ただし、くれぐれも出血が怖いからと、ご自分で薬の量を調整することはしないでください。

私の場合、この病気の後からPT-INR値を2.0付近で管理してもらってるような気がします。
(主治医は具体的に〇〇を狙おうとは言わないが、値を見る限り、明らかに狙いを下げてくれています。因みに硬膜下血腫前の平均値は2.6、後の平均値は2.0です)

私はただいま50代前半ですが、ワーファリンを常用しているものとして、この先20~30年くらい生きるとして、何度かはこの病気『慢性硬膜下血腫』にかかるのかなと思っています。
この病気は予後はいいらしいのですが、適切な治療あってのことです。
ご自分では分かりにくい症状ですから、周りの方は気にかけてあげてください。



カテゴリー:体験談

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