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最近、歳のせいか足腰に力が無くなってきた気がするのよね。
『筋力低下』というものかしら。
歩けなくならないようにしっかりと筋力をつけないと・・・
『足腰の衰え』
男女問わず多くの方が年を重ねるにつれてよく口にする言葉のひとつです。

数十年前と比べると、男女ともに平均寿命は右肩上がり。
90歳や100歳を過ぎても元気に生活している高齢者の方も珍しくありません。
だからこそ、
『足腰の衰え』
に危機感を抱く方も多くいらっしゃいます。
長生きをしても、足腰が弱って寝たきりの生活・・・となると本人にとってもご家族にとっても苦労が増えてしまいますから。
ただ、この足腰の衰えという言葉・・・
単純に筋力が低下している事だけが原因だと思っていませんか?
もちろん筋力低下は足腰を衰えさせる大きな原因であることは間違いないんですが、実は他にも原因があるんです。
その原因を考える上で大切な考え方、それが
『筋力』と『筋出力』はイコールではない
ということ。
今回の記事ではそのあたりのお話をさせて頂きたいと思います。
もくじ
『筋力』とは
厚生労働省の説明では、
筋力とは筋肉が1回の収縮で発揮する力と、筋肉が繰り返し収縮をし続ける能力
と定義しています。
ちょっとだけ言い方が難しいんですが要するに、
筋肉が瞬発的に発揮できる力と、持続的に発揮できる力を総称して筋力と呼んでいます。
言われれば、当たり前のことではあるんですが・・・
厳密に言えばこの『筋力』という言葉、
これはあくまで筋肉が発揮できる筋力のみにフォーカスした捉え方。
筋肉が『収縮しやすい環境』なのか、『収縮しにくい環境』なのか・・・そういった視点では捉えられていません。
ちょっとややこしい言い回しになっていますが、
そこでイメージして頂きたいのが『筋出力』という言葉なんです。
筋肉が本体の筋力を発揮できる条件
例えば、肘を曲げ伸ばしする時に時に働く代表的な筋肉に上腕二頭筋と上腕三頭筋があります。

肘を曲げる時に上腕二頭筋、伸ばすときに上腕三頭筋を使うワケですが・・・
肘を曲げ伸ばしする時に発揮される筋肉の力
その力を決定づける要素、実は筋肉の収縮力だけじゃありません。
具体的に言えば
- 腕周りの皮膚等、軟部組織の柔軟性
- 肘の関節そのものの可動性
こういった要素が関わってきます。
筋肉の収縮力が十分にあっても、腕周りの皮膚がパツパツに張っていたり、関節の動きそのものがスムーズに動いていなかったら結局、十分な収縮力は得られません。
サイズの合わないパツパツのTシャツを着ていたら十分に手を動かせないですよね?
イメージとしてはそんな感じです。
もう少し要素を細かく言うと
- 皮膚が適切な柔軟性を保っていること
- 筋肉が適切な硬さ、適切な長さを保っていること
- 靭帯や神経が過度に硬くなっていないこと
- 関節が滑らかに動かせること
こういった条件が整ってはじめて
筋肉は本来の収縮力を発揮できるワケです。
こういった環境を加味した上で筋肉が発揮できる力・・・
それを『筋出力』と呼ぶのです。
筋力=筋出力に近づけるために
では、上記のように筋力を発揮しやすい環境を整えるためにはどうしたらいいのでしょう?
①運動の際は関節を出来るだけ大きく動かす
筋肉の出力に関節の可動域が影響していると認識している方は少ないかもしれませんが・・・関節可動域は筋出力を考える上で非常に重要な要素となります。
運動や普段の生活でも意識的に関節を大きく動かすことで、関節そのものの柔軟な動きや筋肉の弾力性を保つことができます。
②皮膚や筋肉を出来るだけ柔軟で伸縮性のある状態に維持する
よく『筋力を維持・強化するためにはマッサージなどを行っても効果がない』といった意見を聞きますが、こういった意見は筋出力を最良の状態に保つという観点で考えると、必ずしも正解とは言えません。
皮膚や筋肉をもみほぐすことで皮膚の柔軟性、筋肉の収縮性や循環機能が改善すれば、それだけ筋肉が発揮できる出力も改善することになります。
もちろん、もみほぐし過ぎて筋肉をユルユルにしてしまっては本末転倒ですが、皮膚や筋肉に過度な硬さがある場合は適度に揉み解してコンディションを整えるという関わり方も必要です。
まとめ
筋肉が発揮する力は、必ずしも純粋な『筋力』のみで構成されているわけではないという事がお分かりいただけたでしょうか?
筋力を発揮する上では、筋肉の収縮力の他にも様々な因子が関わってきます。
つまり、筋肉が収縮力を発揮しやすい環境を整えることができて初めて、筋肉の収縮力が機能的な動作に繋がっていくというワケです。
力が入りにくくなった、手足が挙げにくくなった、そういった場合はもしかしたら、筋肉の収縮力が低下しているだけでなく、皮膚や筋肉の硬さ・関節の柔軟性の低下などの二次的な要因が影響しているのかもしれません。
身体機能の衰えを感じたら一度、皮膚や筋肉の柔軟性・関節の動きの滑らかさなどにも目を向けてみてください。
もしかしたら、ちょっとしたことでその悩みが解消するかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
カテゴリー:その他・予防法