【検査値を読めるようになろう】 炎症の早期警戒システム CRP(C反応性タンパク)とは?【臨床検査技師監修】

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

身体の中の炎症は、どうしたらわかるでしょう?

それは、炎症の時に増加する物質(タンパク質)を調べるとわかります。

つまり、この特殊なタンパク質を測定することで、身体で起こっている炎症の状態が分かるのです。

今回は、炎症の急性期に増加するタンパク成分のCRP(C反応性タンパク)についてお伝えします。

もくじ

炎症とは

     【炎症】

細菌やウイルスに感染すると、病気や傷めた部分(腸・喉・気管支など)に炎症が起こります。

炎症は、痛めた部分の異物(細菌・ウイルスなど)の侵入を防いで修復するという過程を反映しているので、身体を守るための大切な反応といえます。

炎症を起こすと、その部分が赤く腫れたりするのを見ることがあります。

それは、修復に必要な細胞や物質を供給するために動脈の血流量が多くなるためです。

また、痛めた部分(細菌感染など)には白血球が集まって異物の貪食と同時にサイトカイン(修復に必要な細胞や物質を集めるタンパク質)を放出します。

このサイトカインが全身に伝わることで、さらに多くの白血球が集合して肝臓でCRP(C反応性タンパク)が産生されます。

そのCRP(C反応性タンパク)が細菌凝集などを起こすことで、白血球が補足しやすいようにします。

CRP(C反応性タンパク)について

身体のどこかで炎症が起こると、その部分の細胞が壊れてタンパク質の一種であるCRP(C反応性たんぱく)が血液中に増加します。

怪我をした時も細胞が壊れるので、この時も炎症と同じ現象がおきます。

炎症や怪我があれば6時間程度でCRPが増加するため、急性期の炎症や怪我の状態を知ることができます。

また、CRPは炎症や怪我の程度に応じて増減して、治ると速やかに消えるので重症評価治療効果の判定にも役立ちます。

しかし、どの臓器に異常が起きているのかを診断することは出来ません

このCRPは、健康な時には血液中にほとんど存在しません。

ということは、CRPが検出された時は、身体のどこかに炎症や怪我をした細胞が壊れている状態にあるという事が言えます。

CRP検査について

CRP検査は、定性法と定量法に分類されます。

定性法

炎症や怪我の有無を知るためにCRPが陽性か陰性かということを調べます。

陽性の重症度は凝集の度合いによって6段階程度で判定されますが、数値化はできません。

定量法

炎症の程度を数値化して重症度評価や治療効果を行ないます。

抗原抗体凝集の度合いを調べるため自動分析装置で透過光や散乱光を検出して光学的に判定します。

この方法は測定試薬に抗体を含ませておき、検体中の抗原と抗原抗体反応を起こさせて試薬内の抗体にラテックス粒子を結合させたものを用いる方法でラテックス凝集法と呼ばれています。

また、採血から結果報告まで約1時間程度の時間を要します。

心血管の病気の判定

CRPは、最近になって炎症以外に動脈硬化でも値が上昇する事が分かってきました。

このことから、さらに感度の高い『高感度CRP』というものを用いることで、心血管の病気の予知にも活用されるようになりました。

CRPの基準値と異常値について

基準値:0.30mg/dl以下 

健康な時には血液中にほとんど存在しませんので、基準値は非常に低い数値となっています。

異常値

CRPは発症後6時間程度で増加して2~3日後に最高値を示します。

そのため、炎症疾患の治療を開始してもCRPの数値が2~3日後まで上昇が続く場合がるので、炎症の始まりとCRPの上昇には時間差があるといえます。

他の特徴としては、細菌感染では急激に上昇しますが、ウイルス感染では緩やかに少しだけ上昇します。

自宅加療または入院治療の有無

  • 4.0 mg/dl以上 ⇒ 自宅で安静加療
  • 10 mg/dl以上 ⇒ 入院が必要
  • 20 mg/dl以上 ⇒ 厳重管理の治療入院

重症度と疑われる病気

  • 0.4~0.9 mg/dl  ごく軽度(アトピー性皮膚炎・軽い風邪など)
  • 1.0~2.0 mg/dl  軽度(ウイルス感染・火傷など)
  • 2.0~15.0 mg/dl  中等度(細菌感染・重度外傷・糖尿病で透析)
  • 15.0~20.0 mg/dl 重度(肺炎・関節リウマチなど)
  • 30 mg/dl以上   生命の危機(敗血症など)

CRP値に影響を与える因子について

CRPには値に影響を及ぼす因子があるので注意が必要です。

  1. 年齢 : 高齢ほど値が増加傾向。
  2. 性別 : 女子よりも男性の値が高い傾向。
  3. 妊娠 : 妊娠後期で値が増加傾向。

まとめ

CRPは、炎症・組織損傷・悪性腫瘍などをきたす病気の有無病気の重症度治療効果予後の判定などに用いられます。

ただ、どの臓器に炎症があるのかを判断することはできないため、肝機能「AST」「ALT」「γ-GTP」や腎機能「BUN」「CRE」などの検査結果から総合的に判断して精密検査を行うことになります。

異常数値を指摘された時は、CRPの数値による重症度を参考に医療機関へ受診して精密検査をすることをお勧めします。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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