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私が心筋梗塞を発症した当時の年齢は34歳でしたが、まず心筋梗塞という病名を聞いて最初に思ったことは、「心筋梗塞は老人がかかる病気なのになぜ34歳の私が?」という事でした。
『私の年齢より若い人でも心筋梗塞になる人がいる』という事実を知ったのは入院後、医師から心筋梗塞についていろいろと説明を受けてからでした。
今回は、私の心筋梗塞体験談をご紹介いたします。
もくじ
心筋梗塞による突然の痛み
まず初めて体の異変を感じたのは、救急車で運ばれる1日前の事でした。

急に右肩の後ろのあたりに激痛が走り、その状態が数十秒程度続きました。
その後は特に何ともなかったので、「今の痛みは何だったんだろう?」と思った程度でその日は終わりました。
次の日の朝になって今度は左肩のあたりに激痛が走り、その痛みも数十秒ほどでなくなりました。
しかしよく考えてみると、その痛みというのはそれまでに一度も経験したことがないような激しい痛みだったことを今でも覚えています。
さすがにこれは体に何か問題があるのかもしれないと思い、病院へ行こうと思ったのですが、その日が丁度日曜日でしたので家内と一緒に診察をしている病院を電話帳で調べていました。
そんな時、今度もまた左肩の少し胸に近いあたりに激痛が走りだし、以前とは違い一向に痛みが引く様子がありませんでした。
更に、痛む位置が徐々に心臓付近に近づいていき、痛みの度合いも増し、とうとう「ウ~ウ~」と唸ることしか出来なくなってしまいました。
一緒にいた家内がすぐに救急車を呼び、そのまま救急病院へ運ばれていきました。

病院での治療
救急病院へ到着した時は、救急隊からの連絡が入っていたのだと思いますが、医者と思われる人と看護師数人が待機してくれていました。
「大丈夫ですか?ここはどこか分かりますか?」と声をかけられたり、シャツやズボンの端をハサミで切られていろんな器具を取り付けられたりといったテレビで見るようなシーンが展開されました。
そのあたりから意識が徐々に薄れていき、なんとなくいろんな検査をされているなというのは分かっていたのですが、はっきり意識が戻った時はICUのベッドの上で心電図や点滴の針などが取り付けられた状態でした。
その日に医師から告げられたのは「今日は絶対に動いてはいけません!首を左右に動かすのもダメ!」という言葉でした。
それからは数日経ち、まずは「今日からは首を左右にゆっくり動かしてみましょう」と言われ、それに慣れると更に数日後に「今日からは少しだけ寝返りをしてもいいですよ」といったような感じで、数日単位で順にリハビリの様なものが続いていきました。
そのような日々が2週間ほど過ぎたころに、カテーテル検査(血管造影で心臓付近の血流の状態を調べる検査)があり、心臓を流れている太い3本の血管のうちの1本が、根本付近(心臓の上部あたり)が完全に詰まっていて、その先には血液が流れていないことが分かりました。

現在の医療では、カテーテル検査や風船治療(血管の詰まった個所を小さな風船のようなものでふくらませる治療)などは腕からでも行えるようです。
しかし、当時の医療では私のような個所で詰まっている場合、専門の先生が行っても成功率は五分五分だと言われたほど難しかったようです。
幸いなことに私の場合は、風船治療の第一人者的な先生がいらしたので、無事に血管をもとの状態に戻すことができました。
但し、一旦血管が元のように戻っても次第に縮まってくるという事で、その後も3回ほど風船治療が行われました。
その頃になると体力もほとんど元に戻り、いつでも退院できそうな状態だったので先生に退院について聞いてみると「若い人ほど退院後に普通に動いてしまうため、再発しやすく死に至る危険性さえあるため、絶対に油断しないように!」とのお叱りを受けてしまいました。
通常、心筋梗塞は高齢者がかかることが多いこともあり、入院も半年から1年位かかる人も多いようです。
幸い、私の場合は3か月ほどで退院することができました。
まとめ
現在、心筋梗塞が発症してから約30年経過しましたが、今現在も1か月おきに病院で検査を受け、毎日朝晩5錠~9錠の薬を飲んでいます。
この病気の人は、一生薬がなくなることはないようです。
また、これは退院直後からの事ですが、急に10歳も20歳も歳を取ってしまったかのように、それまではなんでもないような動きをしただけで「は~は~」と息切れしたり、すぐに疲れてしまうといった症状がありました。
先生曰く、「心筋梗塞になったせいで、血液が心臓から全身に元気よく送られていかないため」とのことでした。

しかしあまり注意しすぎると逆に体力が落ちすぎてしまうため、適度な運動も必要とのことです。
現在も長めの散歩をしたり、エアロバイクを30分程度軽くこぐといった運動を続けています。
また、この病気になって初めて知った事ですが、心臓機能に障害がある場合は第一種身体障害者手帳なるものが交付されます。
これを所持していると高速道路料金が半額になったり、公共機関の入場料が無料になるなどの特典があったりしてちょっと得した気分にもなります。
しかし、一番いいのはこの病気にならないことですので、日頃から健康には十分気を付けてちょっとした体の異変を見逃さないようにしたいものです。
心筋梗塞の予防や早期治療するためのアドバイス
この心筋梗塞という病気は、20代の人でも発症することがあるそうですので、決して高齢者の病気だと思わず、体に異変があった場合はすぐに病院で診てもらうことをお勧めします。
私の場合もそうでしたが、心筋梗塞だからといって最初から心臓の付近が痛くなるわけではないので、「こんな痛みを感じたのは初めてだ!」と思ったときは、たとえその部位が心臓から離れた個所であったとしても、決して楽観視せずに対処して頂きたいと思います。
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