【検査値を読めるようになろう】胆汁うっ滞と関わりの深いALPについて知っておこう【臨床検査技師監修】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

皆さんは、ALP(アルカリフォスファターゼ)についてどのようなイメージがあるでしょうか。

多分ですが、「そういえば健康診断にそんな項目にあったかもしれない。」という感じかなと思います。

このALPは、単独で病気を予想するよりもAST・ALT・γ-GTPなどと合わせて病気を判断していく事が多いです。

また、ALPは胆汁が滞ってしまう病気(胆汁うっ滞)にも関わりが深いので、そのあたりを含め分かりやすくお伝えしていきます。

ALP(アルカリフォスファターゼ)とは

ALPは、リン酸化合物という栄養素を分解する酵素です。

このALPは、肝臓・腎臓・腸・骨などで作られ、胆汁の中に最も多く含まれています。

 

胆汁とは、肝臓で生成される消化液のことで1日に800mlほど作られています。

肝臓で生成された胆汁は、胆のうで5~10倍に濃縮され一時的に蓄えられます。

食べ物が十二指腸に到着すると、胆汁は胆管を通り、膵臓の膵管と合流してから膵液と一緒に十二指腸へ分泌されます。

また胆汁は、主に脂肪の消化を助ける働きをしています。

このことから胆汁の流れ道(胆道)に異常があると、胆汁に含まれているALPが血液中に放出されるためALPの値を調べることで、肝機能の異常や胆汁の流れに問題がないかなどを判断することができます。

それ以外に骨にも含まれているため、悪性腫瘍の骨転移の有無についてもALP値を調べます。

しかし、ALPは多くの臓器に含まれている酵素なので、ALPの値だけでは異常を特定できません。

通常は、AST・ALTだけでなく他の項目を組み合わせて総合的に見ることで、肝臓の働きや胆汁の流れの悪さなどについて判断していきます。

ALPの測定について

AST・ALTと同様にALPも生化学自動分析装置を用いて測定されます。

測定原理

ALPは、有機リン酸エステルを加水分解してリン酸塩を遊離させる酵素で、p-ニトロフェニルリン酸(pNPP)を基質としています。

また、Mg2+(マグネシウムイオン)で活性化させることでp-ニトロフェノールとリン酸が作られます。

このp-ニトロフェノールが生成される時に吸光度(401㎚)の増加速度を測定することでALPお活性値を求めることができます。

加水分解:化合物に水を加えて反応することで起こる分解反応です。

基質:酵素の作用を受けて化学反応を起こす物質です。

p-ニトロフェニルリン酸(pNPP)〔基質〕 + HO〔加水分解〕  ⇒ALP ・Mg2+ (活性化)⇒ p-ニトロフェノール + リン酸

p-ニトロフェノールを吸光度(401㎚)で増加速度を測定して、ALPの活性値を求める。

ALPの基準値と異常値

基準値

80~260 IU/L ※4-NPP基質法(JSCC)

ALP法は、検査方法がいくつかあるため基準値も異なります。

また、病的なものではありませんが血液型の一部や食事の影響を受け、食後に数値が上昇します。

上昇の程度は、個人差が大きく脂肪の多い食事でより上がりやすくなります。

他にも女性より男性、成人よりも小児の方が高い値を示します。

新しい基準値

38~113 IU/L (IFCC)

~トピックス~

ALPとLDHの基準値は、2020年4月から日本で定められた基準値から国際標準の基準値に変更となりました。

これまではJSCC(日本臨床化学会)で定められた試薬を用いて測定していましたが、IFCC(国際臨床化学連合会)で定められた試薬で測定することで、測定結果の臨床的意義を国際基準に高められるようになり、国際的な治験の参加も可能となりました

しかし、JSCCからIFCCに変更になったことで基準値がこれまでの約1/3の値となりました。

もし、変更前の値と比較する場合は、変更前の値を1/3程度にしてみて下さい。

異常値

※今回の異常値の数値は、4-NPP基質法(JSCC)の値を用いてお伝えします。

 また、4-NPP基質法は、多くの施設で採用されている測定法です。

異常値は、要注意と要受診に大別できます。

  • 要注意:79 IU/L以下   261~389 IU/L
  • 要受診:390 IU/L以上

要注意の中でも600 IU/L以下は中等度の上昇600 IU/L以上を高度の上昇に分けることが出来ます。

中等度の上昇では、軽い黄疸が認められます。

*黄疸は、血液中のビリルビンが身体の組織に沈着して、皮膚や白目が黄色く見える状態です。

  • ALPが減少する疾患甲状腺機能低下症、亜鉛欠乏など
  • ALPが上昇する疾患胆汁うっ滞、肝機能障害、骨腫瘤など

ALP値は、胆汁うっ滞で大きく上昇して、(急性または慢性)肝炎、肝硬変ではあまり上昇しません。

これより黄疸が現れた時にALPを測定することで肝臓または胆道のどれかに原因があるかが特定できます。

一方、AST・ALT値は、肝炎で大きく上昇して、胆汁うっ滞ではあまり上昇しません。

以上のことから、疾患の特定の確認のためにはALPだけでなくASTやALTも組み合わせて測定します。

      【胆管結石】

胆汁うっ滞の疾患には、胆管結石、膵臓がん、原発性胆汁性胆管炎、薬が原因の肝機能障害などがあります。

肝機能障害には、肝炎、肝硬変、肝がんなどがあります。

まとめ

ALPは、肝臓、胆道、腸、骨などに多く含まれる酵素で、肝臓で処理されると胆汁に多く含まれています。

そして、これらの臓器に障害が発生すると血液中にALPが漏れ出てくるため、ALPの値が上昇します。

特に胆汁の流れが滞ることによってALPの値は大きく上昇するため、胆汁うっ滞の病気の判断に用いられます。

    【黄疸】

胆汁うっ滞したときの身体的症状には、黄疸、皮膚のかゆみ、明らかに色の濃い尿、悪臭を放つ色の薄い便などが認められます。

もし、これらの身体的症状が認められたときは、胆汁うっ滞の病気を発症している可能性が高いので直ぐに医療機関へ受診することをお勧めします。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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