【作業療法士監修】記憶障害の6種類と家族ができる支援3選

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

ご家族が、脳の病気や怪我をきっかけに今まで覚えていたことが思い出せない、新しく覚えることができなくなった。

もしかすると、記憶障害かもしれません。

記憶障害は、本人の自覚がないケースもあるため、身近にいるご家族のサポートが重要になります。

そのため家族が対策を知ることで、日常生活や社会生活に復帰できる可能性が高くなります。

この記事では、記憶障害の6種類と家族ができる3つの支援についてお伝えします。

もくじ

記憶障害とは

ケガや病気を境目に、見たり、聞いたりしたことを覚えれなくなったり、覚えていたことを思い出せなくなります。

記憶障害の種類

記憶の種類は、時間の要素情報の種類で分類されています。
時間の要素・情報の要素それぞれ3つの分類に分けられます。
まずは、時間の要素の3分類をお伝えします。

短期記憶


その場で言われたことなどの短い時間の記憶力のことを指します。

具体例)数秒前に言われたこと、物を置いた場所を忘れてしまうことなど



長期記憶


長時間にわたる間の記憶力のことを指します。

具体例)過去にどこの小学校に通っていたか、昔の仕事内容など



  

自分の人生を作ってきた様々な出来事は、必要なときに思い出せることがほとんどです。
ヒントをもらっても、大部分が抜け落ちているとなれば、長期記憶障害の可能性が高いです。

展望記憶

これから実行することをタイミングよく思い出す記憶のことを指します。

具体例)
予約した美容室の予定を思い出すなど

続いて情報の要素から分類した記憶の種類3つを挙げていきます。

エピソード記憶

個人が体験した出来事や思い出を、忘れてしまう障害のことを指します。

具体例)昨日どこに出かけ何をしたのかなど

手続き記憶

本人が繰り返すことで身につけた技術や無意識のうちに覚えている記憶のことです。

具体例)自転車に乗るなど

意味記憶

言葉の意味や一般的な常識などに関する記憶のことを指します。

具体例)食べ物の名前や動物の名前、冬には雪が降るなど

記憶の仕組みについて

私たちがものを覚えたり、適切なタイミングで思い出したりするために、3つの段階があります。

記銘

覚える段階のことをいいます。
私たちが覚えたい情報を頭の中で処理しやすい形に変換されます。
記銘は記憶の入り口となる部分のため、ここで失敗すると記憶は定着しません

保持

記憶した情報を必要になる時まで覚えやすい場所に保存しておく段階のことをいいます。

想起

必要なときに保持していた記憶を再生する段階のことをさします。

家族ができる3つの支援

記憶障害の対策は、様々な方法がありますが
今回は家族が簡単にできる3つの支援方法をご紹介したいと思います。

1 生活しやすい環境を整える


私たちでも、物をなくしたり、これからすることをふと忘れてしまうことはありますよね。
記憶障害の方は対策を打たなければ、一日に何回も物をなくしたり、すべきことを忘れてしまいます。

そのため記憶障害の方の取り巻く環境を整えることで、これからすべき行動がわかりやすくなり、不安や混乱が少なく生活や仕事に向き合うことができます。

具体例)

・1日の日課や行動のパターンを決める


・生活スペースの物品を最小限にし、見つけやすいようにする


・重要なもの、よく使うものの保管場所を決めておく

2 手がかりの多い環境を整える

生活がしやすい環境が整ったら、続いては行動の手がかりが多い環境を作ることで、ご本人が思い出すことのきっかけとなります。

具体例)

・予定や日課、注意事項を確認しやすくする。
 (
カレンダー、貼り紙などのメモ、チェックリスト、携帯電話の利用)


・文字情報で難しい場合は、
絵、写真など視覚的な手がかりの活用する。


・部屋やトイレなどの場所がわからなくなる場合は、
目印や矢印などをつける


3 周囲の対応をなるべく統一する

家族・支援者の周囲の対応は重要な環境調整の一つになります。
周囲が共通認識と統一された対応することで、ご本人の不安や混乱が減り、安心した生活を送ることができます。

関わり方の具体例
テーマを具体的に伝えてから、話し始める。
・主語、名詞などを具体的に伝える
 ex)この間→2日前の水曜日
・大切な内容は、メモを書き渡すようにする。
・メモは、いつも確認する場所や視界に入る場所に貼る。
・メモは5W1H具体的かつ端的に。

まとめ

今回は、記憶障害の種類と家族ができる対策3選を挙げました。
記憶障害の方は、日常生活を自立したり、社会復帰するには時間がかかるケースが多いです。
しかし、ご本人を取り巻く周囲の人たちが、根気強く支援をすることで、できることが増えていきます。
一筋縄ではいかないケースもあるため、支援が大変な場合は、専門機関への相談をしながら適切にサポートをしてあげましょう。



カテゴリー:記憶障害【作業療法士】, 高次脳機能障害

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