遂行機能障害とは?症状と家族ができる支援を作業療法士がわかりやすく解説!

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

『調理が計画通りできなくなった』

『行き当たりばったりな行動が増え、ミスが多くなった』

もしかすると、遂行機能障害かもしれません。

遂行機能障害は、目に見えにくい障害のため、周りの人の支援や理解がないと失敗体験の積み重ねにより、社会復帰が困難となるケースが多いです。

今回は、遂行機能障害に対して、家族ができる支援を厳選し、4つお伝えします。

もくじ

遂行機能障害とは

遂行機能障害は、自分で計画をたて、計画に沿って効率よく、物事を実行できない障害のことを指します。

また遂行機能とは、ある目的を達成するための一連の過程を、手際よく実行する能力のことをいい、以下の4つの段階となっています。

目標の設定

計画の立案

計画の実行

最終確認

カレーライスを作ることを例にして挙げていきます。

目標の設定→チキンカレーを4人前作ることを決める

計画の立案→鶏肉や野菜など、何の具材を入れるかを決める。

計画の実行→材料を買いに行き、野菜を切り、肉を炒め、それらをカレールーと一緒に煮込む。

最終確認→出来上がった味の確認や調味料での味の調整をする。

遂行機能障害は、4つの段階のどこかで様々な問題が生じてしまいます。

遂行機能障害の症状

4つの段階で起きやすい症状を、具体的に紹介をしていきます。

自分で計画を立てることができない

目標設定や計画立案ができない為、予定していたものや期待されていたものとは、異なった形に仕上がってしまいます。

具体例としては、チキンカレーなのに肉が入っていない、2人前の予定がルーを全て使ってしまうなど。

段取りが取れず、行き当たりばったりの行動をしてしまう

計画的な行動が困難なため、衝動的な行動を取ってしまいます。

例えば、手順がばらばらになってしまうことや何度も同じことを繰り返す、自己流の方法で無理やり行ってしまうことなどが挙げられます。

物事に集中できず、要領が悪くなる

何か一つのことに集中できないため、目に入ったものに手を出してしまい作業効率が落ちてしまいます。

また、同時に2つ以上のことができない為、物事を効率よく進めるのが苦手です。
例えば、洗濯の待ち時間に料理をすることが出来ないことなどが挙げられます。

自ら進んで、行動ができない

自分の計画がない、もしくは計画を立てることが難しい為、行動を開始することができません。

周囲からは、無関心で活動性や自発性が欠けているように見られ、誤解が生じやすいです。

これらの症状がある場合は、遂行機能障害の可能性が高いです。

遂行機能障害の予後

遂行機能障害は、非進行性の病気なので、悪くなることはありません。

そのため起きている問題を見極めながら、本人と周りの人が根気強くリハビリやサポートをすることで症状が改善していきます

遂行機能障害の家族支援

家族ができる支援を症状に合わせて4つご紹介します。

目標や計画を決めてあげること

自分で目標や計画を立てることが難しい方には、援助者が決めてあげることが重要なポイントです。

目標を決めてあげる理由としては、サポートがないと行き当たりばったりの行動をとってしまい、失敗に繋がるケースが多いからです。

手順表を作成すること

段取りが取れず、行き当たりばったりな行動をとってしまう方には、予定表を作成するのが有効です。

行き当たりばったりの行動をとってしまう理由は、これから何をすべきかを理解していないためです。

手順表を作成することで、次自分が何をすべきかを理解し安心して行動ができます。

周囲の人と手順表を一つずつ確認しながら行動していくことで徐々に定着していくでしょう。

集中しやすい環境を作る

自ら進んで行動が取れない方には、一つのことに集中してもらう環境を作ることで要領良く作業に取り組めることができます。

また同じ時間や環境で、日課を行えることが要領よく行動ができる重要なポイントとなります。

行動を開始するきっかけを作る

行動のきっかけを作る簡単な方法は、声をかけてあげることです。

声かけする時は、これから何を行うのかを具体的に伝えてあげることが重要です。

声かけ以外には、目覚まし時計や携帯電話のアラーム機能を活用することも良いでしょう。

遂行機能障害の方は、自分に計画がないため、何をしていいかわからない状態のことが多いです。

これから何をするのか具体的に見通しを伝えてあげることで安心して、行動に切り替えることが出来るでしょう。

まとめ

この記事では、遂行機能障害の症状と家族ができる支援4選をご紹介しました。

遂行機能障害は、環境を整えたり、予定表など具体的な行動を提示してあげることで、適切な行動をとることが可能になります。

しかし物事がスムーズに進められないと本人だけでなくサポートする周囲の方にも多大なストレスがかかると言われています。

ご家族だけでの解決が難しい場合は、1人で抱え込まず、医療機関のリハビリにご相談をください。



カテゴリー:遂行機能障害【作業療法士】, 高次脳機能障害

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