【検査値を読めるようになろう】水分補給と電解質(イオン)について【臨床検査技師監修】

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

体内の水分『体液』の役割

私たちの身体は多くの水分によって構成されていて、成人(体重)の60~65%を占めています。

 体内の水分

また、体内に取り込んだ水分は、腸から吸収されて血液などの『体液』と呼ばれるものになって全身を循環しています。

体液には、3つの大きな役割があって生命を維持するために重要な役割を果たしています。

体液の役割

運搬:身体中に酸素・栄養分を運んで老廃物を尿として排出する。

体温調節:皮膚への血液の流れを増やして、汗をだして体温を調節する。

環境維持:新陳代謝が安定するように体液を一定に保つ。

脱水と電解質(イオン)について

体液のバランスが崩れてしまう症状の一つに脱水があります。

     脱水症状

脱水とは、激しい運動などをしたとき、汗と一緒に電解質(イオン)のNa(ナトリウム)が流れてしまいます。

また、食中毒による激しい嘔吐や下痢による脱水では、Na(ナトリウム)だけでなくCl(クロール)も身体から流れてしまいます。

このように電解質(イオン)のバランスが崩れてしまうことで、頭痛、目まい、吐き気、倦怠感などの脱水症状が現れます。

体内の水分『体液』は一定に保たれていますが、脱水などで2%の水分が失われると喉の渇きが感じられ、運動能力が低下します。

3%の水分が失われると、喉の渇きが強くなって集中力が低下します。

4~5%では、頭痛や目まいなどの脱水症状が現れます。

10%以上の水分『体液』が失われると生命の危険となり、20%以上失うと死亡となります。

このことから体内の水分を十分に保つための水分摂取は、非常に重要であることがいえます。

また、脱水に伴う水分摂取は、水ではなく電解質濃度の高い経口補水液が推奨されています。

電解質とは

体内の体液には『電解質(イオン)』が含まれています。

電解質(イオン)とは、水に溶けると電気を帯びた「陽イオン」と「陰イオン」に分かれて電気を通す物質のことです。

この電解質の役割は、

  • 細胞の浸透圧調節
  • 血管、細胞、神経、筋肉などの動きを調節

*浸透圧とは、濃度の異なる液体が膜を介して隣りあった時、濃度を一定に保つために薄い側から濃い側に移動する圧力のことです。

また、電解質(イオン)の量は、多すぎても少なすぎても細胞や臓器の機能が低下して命に関わることがあります。

◆主な電解質(イオン)

主な電解質には、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)などがあります。

これらは、5大栄養素と呼ばれています。

5大栄養素〉

  • Na:体の水分量と浸透圧の調節、神経の伝達、筋肉の収縮
  • :神経の伝達、心臓や筋肉の収縮
  • Cl:体の水分量と浸透圧の調節、胃酸の分泌
  • Mg:筋肉の収縮、酸素の活性化、骨・歯をつくる
  • Ca:神経の伝達、筋肉の収縮、血液を固める、骨・歯をつくる

電解質(イオン)の検査法

人間ドックで行われる電解質検査(Na、K、Cl)は、血液から調べます。

この検査は、生化学自動分析装置を用いて電極法という測定方法で電解質濃度をみています。

測定時間は、20~30分程度です。

また、救急搬送や容態が急変して直ぐに電解質濃度を知りたい時は、血液ガス検査が行われます。

この検査は、動脈からの検査になるため基本的に医師が採取します。

採取した血液は、血液ガス分析装置で測定します。

測定時間は1~2分程度です。

基準値と異常値

◆基準値

 Na137~147mEq/L

 K3.5~5.0mEq/L

 Cl98~108mEq/L

 Ca8.4~10.4mEq/dl

 Mg1.9~2.5mg/dl

異常値

低Na血症135mEq/L以下

症状:頭痛、意識障害、倦怠感など

原因:水中毒(飲みすぎ)、心不全、じん不全、感染症など

120mEq/L以下になると重症(パニック値)となります。

 パニック値とは、基準の値から大きく外れていて緊急措置が必要な値です。

高Na血症150mEq/L以上

症状:頭痛、意識障害、痙攣など

原因:尿崩症、脱水など

*低Na血症と高Na血症は原因が異なりますが、症状が似ています。

低K血症3.4mEq/L以下

症状:筋力低下、不整脈など

原因:嘔吐、下痢、慢性的な低酸素、アルコール中毒など

*2.0mEq/L以下で心停止の危険があります。

高K血症5.1mEq/L以上

症状:(軽症)症状なし、(重症)危険な不整脈

原因:急性腎不全、低アルドステロン血症など

6.5mEq/L以上で、重症な不整脈から心停止の危険があります。

Clは、NaとKとセットで測定されるので、Clのみの異常で症状が出ることはありません。

高Ca血症12 mg/dl以上

症状:悪心、嘔吐、意識障害、多尿、口渇など

原因:副甲状腺機能亢進症、利尿薬の服用、ビタミンD過剰症など

低Ca血症8.3 mg/dl

症状:脱力、手足の攣り・痺れ

原因:慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、低栄養など

高Mg血症2.6mg/dl

症状:血圧低下、呼吸抑制

原因:慢性腎不全

低Mg血症1.8mg/dl

症状:悪心、嘔吐、脱力、手足の攣りなど

原因:Mgの摂取不足または吸収不足

まとめ

電解質は、生命を維持するために重要な物質です。

この電解質のバランスが崩れることで様々な症状が生じます。

特に脱水は、夏以外でも起こりうるので注意をする必要があります。

脱水が疑われる場合は、水でなく経口補水液やスポーツドリンクを摂取することをお勧めします。

健診では、電解質(イオン)が異常となることは、ほとんどありません。

しかし、電解質の重要性を知っておくことは、身体の異常発見(セルフチェック)にも繋がります。

もし、明らかな脱水症状などが出た時は、経口補水液やスポーツドリンクの摂取だけでなく、念のために医療機関へ受診して下さい。

〈参考文献〉

↓水・電解質輸液(株式会社 大塚製薬工場から引用)↓

https://otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes

↓水・電解質異常(青葉メディカルケアクリニックから引用)↓

https://aoha-clinic.com/electrolyte.html

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



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