【検査値を読めるようになろう】血糖値の色々について知ってみよう【臨床検査技師監修】

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もくじ

血糖値と糖尿病

健康診断の血液検査で最も知られている項目といえば血糖値でないでしょうか?

高血糖値(血糖値異常)のため「要精査」「要治療」の指摘を受けた方も少なくないと思います。

高血糖で怖いのは、糖尿病を発症しても病気が進行しないと症状が現れないということです。

そのため健康診断で指摘されたにも関わらず、「ちょっと不摂生したから高かっただけ。」「検査結果は何かの間違いだ。」などと自己判断して放置しがちです。

その結果、診断や治療の遅れによって糖尿病を発症糖尿病の合併症が悪化というケースも少なくありません。

高血糖と関わりの深い糖尿病ですが、現代日本において癌と同様に「国民病」と見なされています。

(医療費負担)

2020年の糖尿病に関する推計では、糖尿病患者:1000万人年間医療費:1兆2239億円年間死亡:1万3969人と報告されています。

また、糖尿病予備軍1000万人いるとされていることから、成人の4分の1が糖尿病または予備軍ということになります。

〈補足:参考文献〉

↓一般財団法人 日本生活習慣病予防協会より引用↓

http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/diabetes/

今回は、血糖値の色々について分かりやすく解説していきます。

血糖値とは

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度を数値化したもので、血液100ml(1dl)中にブドウ糖が何mg含まれているかをみています。

  (炭水化物)

私たちは、このブドウ糖を体内に取り入れるためにご飯、麺、パンなどの炭水化物(糖質)から摂取します。

炭水化物は、消化吸収されるとブドウ糖(グルコース)に変換され、血液中に入って体を動かすエネルギーとしての機能を果たしています。

食事の影響を受けやすい血糖値は、食後に高い値を示します。

これは健康な人にもみられますが、糖尿病の人は振れ幅が大きくなって異常な高血糖値を示します。

健康な人の場合、食後に血糖値が上昇しても膵臓からインスリンが分泌されるので、血糖値が上がり過ぎることはありません。

◆高血糖とは

  (ドロドロ血液)

高血糖は、血液中のブドウ糖が多いため血糖値が高い値を示します。

高血糖状態の血液は、ブドウ糖によってドロドロの状態なので血流も悪くなるため糖尿病へ移行しやすくなります。

糖尿病になるとインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの反応が悪いため食後の血糖値が下がりにくい高血糖の状態が続きます。

そして、糖尿病の治療をすることなく食後高血糖の状態を長期間放置することで、身体に様々な悪影響を及ぼすのです。

特に糖尿病の3大合併症(細小血管障害)といわれる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害を引き起こすリスクが高くなります。

◆低血糖とは

血糖値が下がり過ぎた状態で、糖尿病の服薬治療をしている人に見られます。

原因として挙げられるのは、糖尿病薬が効きすぎ指示と異なる服用などによるものです。

低血糖の症状としては、動悸、冷や汗、脱力感などが現れます。

さらに低血糖が進むと昏睡状態や生命に危険が及ぶこともあります。

◆血糖値スパイク

最近、空腹時の血糖値が正常なのに食後の血糖値が急上昇・急降下を繰り返す「血糖値スパイク」が注目されています。

この血糖値スパイクを繰り返すと、有毒な活性酸素が大量に発生して正常な血管を傷つけてしまうのです。

そして、傷ついた血管に免疫細胞が集まって修復しようとするため、血管の壁が厚くなって大血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞)のリスクが高くなるのです。

血糖値スパイクは、空腹時の血糖検査やヘモグロビンA1cで見つけられないため、市販の自己血糖装置や医療機関での食後血糖測定をお勧めします。

血糖値の測定

 (血糖測定器)

血糖の測定は、血糖測定器で測定します。

採血から結果報告までに要する時間は20~30分です。

血糖値は、食事などによって変動するため、測定したときの状態によって「空腹時血糖値」「食後血糖値」「随時血糖値」に分類されます。

基準値と異常値

◆基準値

  • 空腹時血糖値 70~110㎎/dl

 *空腹時血糖値の中でも100~109㎎/dlの正常域は「正常高値」と呼んでいます。

  正常高値は、糖尿病になる可能性が高いので生活習慣を気つける必要があります。

  • 食後血糖値 140㎎/dl未満(食後2時間)
  • 随時血糖値 140㎎/dl未満(食後1時間)

100㎎/dl未満(食後3~4時間

◆境界値(境界型)

  • 空腹時血糖値 111㎎/dl以上 125㎎/dl未満
  • 食後血糖値  141㎎/dl以上 200㎎/dl未満 (食後2時間)

*糖尿病の可能性も否定できないため、糖負荷試験などの精査を必要とします。

◆異常値

異常高値(糖尿病型)

  • 空腹時血糖値 126㎎/dl以上
  • 食後血糖値  200㎎/dl以上(食後2時間)
  • 随時血糖値  200㎎/dl以上

パニック値 500㎎/dl以上

*嘔吐、意識障害、昏睡状態に陥ります。

異常低値

・空腹時(随時)血糖値 70㎎/dl以下

パニック値 50㎎/dl以下

*脳などの臓器がエネルギー不足の状態。

 30㎎/dl以下になると昏睡状態や命の危機に繋がります。

まとめ

健康診断などで血糖値が高かったとしても糖尿病の初期段階であれば自覚症状も現れません。

そのため、病気を発症または進行するまで放置されてしまうことが多いと言えます。

血糖値が高い状態を放置していると血管や神経などにダメージを与え、最終的には脳梗塞や心筋梗塞などの大血管疾患を引き起こすリスクが非常に高くなります。

また、空腹時血糖値やヘモグロビンA1cでは見つからない食後高血糖「血糖値スパイク」にも注意が必要です。

血糖値の異常を指摘された。生活習慣に不安があるという方は、早めに医療機関に受診することをお勧めします。

早期発見、早期治療で自分の医療費負担を減らして、自分のために有効活用しましょう。



カテゴリー:”薬”立つ情報, 臨床検査技師【検査】, 臨床検査技師【検査値】, 検査値

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