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健康診断で血糖値を調べるセット項目といえば、(空腹時)血糖値検査、HbA1C
(ヘモグロビンエーワンシー)です。
そのため、HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という言葉を見たり聞いたりする機会も増えてきているのではないかと思います。
皆さんは、HbA1Cについてどのくらい知っているでしょうか?
名前を聞いたことはあるが、詳しくは知らないという人が比較的多いのかと思います。
今回は、HbA1Cについて糖尿病を交えてお伝えいたします。
もくじ
HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)とは

血液中の赤血球には、ヘモグロビンという赤い色素のタンパク質が含まれています。
ヘモグロビン(タンパク質)は、酸素を全身に運んで二酸化炭素を回収してくるという働きをしています。
また、血液中のブドウ糖はタンパク質とくっつきやすい性質があるため、ヘモグロビン(タンパク質)とも結合します。
そして、ヘモグロビンとブドウ糖が結合したのをHbA1C(ヘモグロビンエーワンシーまたはグリコヘモグロビン)と呼んでいます。
血液内のブドウ糖が多くなる高血糖状態になると、より多くのブドウ糖がヘモグロビンと結合するのでHbA1Cが増えることになります。
一度結合したHbA1Cは、分離することが困難なため、赤血球の寿命が続く限り結合しています。
その性質を利用してHbA1Cを測定することで、約1~2ヶ月間の平均的な血糖値を知ることができます。
そのため健康診断では、採血時の血糖値と1~2ヶ月の平均的血糖値を調べるため(空腹時)血糖値検査とHbA1Cをセットで検査することが多くなっています。
HbA1Cの検査法
HbA1Cの測定法には、「HPLC法」「酵素法」「免疫法」があり、いずれかの方法で測定がおこなわれています。
測定法により異なりますが、測定時間は1分~10分程度です。
基準値と異常値

◆基準値:4.6~6.2%
*4.6~5.6%未満は、正常型(良好な数値)といわれています。
HbA1Cの年代別の基準平均値は以下のようになります。
- 20~29歳 HbA1C:5.3%
- 30~39歳 HbA1C:5.4%
- 40~49歳 HbA1C:5.5%
- 50~59歳 HbA1C:5.8%
- 60~69歳 HbA1C:5.9%
- 70歳以上 HbA1C:6.0%
◆異常値
境界値(グレーゾーン)
以下の数値が認められた場合、糖尿病が疑われ「再検査」が必要となります。
- HbA1C:6.0~6.4% 糖尿病の可能性あり
- HbA1C:6.5%以上 糖尿病が強く疑われる
再検査では、血糖値検査、HbA1C検査だけでなくブドウ糖負荷試験なども行われます。
*ブドウ糖負荷試験
75gのブドウ糖を含んだ飲み物を飲んで、30分毎に採血して血糖値を測定していきます。
普段の血液検査で分からない食後高血糖の有無も知ることが出来る検査です。
「正常型」 空腹時血糖値:110㎎/dl未満 2時間後血糖値:140㎎/dl未満
「糖尿病型」 空腹時血糖値:126㎎/dl以上 2時間後血糖値:200㎎/dl以上
「境界型」 どちらにも当てはまらない
異常値とリスク
HbA1C:6.0~6.4%
糖尿病予備軍といわれ、大血管障害(心筋梗塞・脳梗塞など)のリスクが正常の人より高くなります。
HbA1C:6.5%以上
糖尿病予備軍より大血管障害のリスクが高くなります。
HbA1C:7.0%以上
糖尿病3大合併症(糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害)の発症リスクが高くなります。
HbA1C:8.0%以上
糖尿病3大合併症が進行して身体に様々な影響を及ぼす可能性が高くなります。
傷の治りが悪くなるため、血糖値を下げるまで手術ができません。

HbA1C:9.0%以上
感染症になりやすく重症化する危険性があります。
HbA1C:10.0%以上
入院による糖尿病治療を即時開始する必要があります。
HbA1Cの目標値
65歳未満の成人期で糖尿病と診断された時の血糖コントロールの目標は以下のようになります。
- 血糖値の正常化を目指す目標 HbA1C:6.0%未満
- 合併症を予防する目標 HbA1C:7.0%未満
*空腹時血糖値:130㎎/dl未満 食後2時間血糖値:130㎎/dl未満
- 治療効果が困難な時の目標 HbA1C:8.0%未満

食後の血糖値が高くなるとHbA1Cに大きく影響するため、HbA1Cを下げるには食後高血糖の改善が必要です。
そのためには、食事メニューや食べる順番に気をつけたり、適度な運動が効果的となります。
まとめ
HbA1Cが高いと指摘されたら、糖尿病の可能性が高いといえます。
特に6.5%を超えている時は、早めに医療機関に受診することをお勧めします。
糖尿病は、初期の段階では明らかな症状が見られないため、血糖値やHbA1Cが高くても自己判断して放置されることが多いです。
しかし、早い段階で治療を開始したほうが合併症を予防できるだけでなく、生活習慣の制限軽減や医療費の自己負担軽減にも繋がります。
早期発見・早期治療で自分の身体を大切にしていきましょう。
〈補足:参考文献〉
↓HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)とは?基準値とコントロール方法を徹底解説‐シンクヘルスブログ↓
https://www.health2sync.com/ja/blog/post/20200417/to-know-glycated-albumin/
↓【検査値を読めるようになろう】血糖値の色々について知ってみよう【臨床検査技師監修】↓
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