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わたしは情緒不安定性人格障害です。
通称『境界性人格障害(BPD)』とも呼ばれ、気持ちや行動、対人関係が不安定になりやすく、日常生活で大きな苦痛や支障をきたしてしまう障害です。
この記事では病気の特徴や症状、また、現在治療中のわたしがどんな経験をしてきたか、どんな治療や対策を取って生活しているのかなどを解説していきます。
もくじ
情緒不安定性人格障害(境界性人格障害)とは
情緒不安定性人格障害とは、境界性人格障害、境界性パーソナリティ障害とも呼ばれ、境界性があることから『ボーダー』とも呼ばれる障害です。
この記事では以下ボーダーと省略します。

皆が様々な性格を持っていますが、中にはその一部分が極端に偏ったようになり、社会生活を送る上で自分も他人も苦しませてしまうようになる人がいます。
こうした人々のことを精神医学の分野では『パーソナリティ・ディスオーダー』と呼ぶようになり、日本では『人格障害』と呼ばれるようになりました。
その中でも、気分の波が激しく感情が極めて不安定で、良い・悪いなどを両極端に判断したり、強いイライラ感が抑えきれなくなったりする症状を持つ人は『境界性人格障害』に分類されます。
近年では『境界性パーソナリティ障害』とも呼ばれています。
『境界性』という言葉は、『神経症』と『統合失調症』という2つの心の病気の境界にある症状を示すことに由来します。
境界性人格障害における強いイライラ感は神経症的な症状で、現実が冷静に認識できないという症状は統合失調症的なものです。
境界性人格障害は人口の約2%に見られ、若い女性に多いと言われています。
ボーダーの要因は様々ですが、専門の医師によると、愛着・愛情の不足、不安定な状態が影響している場合が多いと言われています。
病気の症状・特徴

情緒不安定性人格障害でよく見られる特徴や症状には、以下のようなものがあります。
・現実または妄想で、人に見捨てられることを強く恐れ、不安を抱いている。
・0か100かでしか物事を判断できない
・対人関係の変動が激しく、人付き合いが安定しない。
・気分や感情がめまぐるしく変わり、周囲の人々がついてこられない。
・感情のブレーキがきかず、ちょっとしたことで癇癪を起こしたり、激しく怒り、傷つきやすい。
・自殺のそぶりや自傷行為を繰り返し、周囲に動揺を与える。
・自己を損なう行為(薬物・アルコール・セックス・万引き・過食・買い物等)に依存しやすい。
・いつも空虚な気持ちを抱き、幸せを感じにくい。
・生きることに対して辛さや違和感を持ち、常に自分が何者であるかわからない感覚を抱いている。
・強いストレスがかかったとき、一時的に記憶がなくなり、解離的症状を起こしやすい。
私が自覚した頃の様子
わたしは以前から精神疾患に興味があり、好きなバンドのメンバーがボーダーであったりしていたのでどういう障害かはなんとなく分かっていました。

そして自分にも共通するところがたくさんあり、「自分もそうかもしれない」ということは感じていました。
また同時に、ボーダーの症状はいわゆる「メンヘラ」と呼ばれていることも知っていたので、悪いイメージが多くありました。
ボーダーと診断されてから自分の感覚が「0か100か」ということを基準にしていることに気付きました。
行動の具体例を挙げると、誰が相手でもラインの返信が遅れると「もう関わらない」と思ってしまいますし、少しでも傷ついた事があると自傷行為に走ってしまう。
そういった自分の行動を自覚すると、「ボーダー」としての自分の姿がハッキリと見えたのです。
診断と治療経過
わたしは抑うつ症状もあり、それがきっかけで初めて心療内科に行きました。
その時、先生から真っ先に「境界性人格障害です。」と言われ、頭が真っ白になりました。

予想はしていましたが実際に診断を受けるとショックを受けると同時に、「やっぱりそうなんだ」と納得した2つの気持ちがありました。
ショックを受けているわたしを見て、先生は「ボーダーは芸術的才能が多い人が多いんだよ」とフォローしてくれましたが、当時のわたしはそう思えませんでした。
実践した治療方法
治療としては、気分の落ち込みや見捨てられ不安が強かったので抗不安薬を処方してもらいました。
ですが、わたしの場合は薬物療法だけではなく「『0か100かの思考』を変えなければならない」と先生に言われました。
それは、何か傷ついたことがあったときに0ではなく上手く折り合いをつけるというものでした。
当時はそれをとても難しいことだと思っていましたが、変えなければずっとこのまま自分と周りの人を傷付けてしまうと考えると、それは嫌でした。
それからのわたしは、ラインの返信が遅れても「忙しいのだろう」と思うようにし、傷つくことがあっても「価値観が違うだけ」と考え方を変えることを意識するようにしました。
そうすると、若干のモヤモヤはあるものの、だいぶ生きるのが楽になりました。
たまにどうしようもなく自分を傷つけたくなったり、自分が何者だか分からなくなり辛いときもありますが、なんとかやり過ごしています。
まとめ
今後も物事への考え方を変えることを意識しながら過ごしていきたいと思っています。
当面の目標は、0か100ではなく、50で物事を考えられるようにすることです。
同じくボーダーで辛い思いをされている方へ

ボーダーは治らない障害だと言われています。
それなら、自分が変わるしかありません。
人それぞれ考え方や価値観は違います。
まずそれを前提に人付き合いをしていくとだいぶ楽になりますよ!
あなたが少しでも楽に生きられるように祈りを込めてこの記事を書きました。
最後まで読んでくれた方に最大の感謝を申し上げます。
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