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◎この記事の中の人プロフィール◎
【年齢】55歳男性
【職業】会社員
【既往歴】2012年に高血圧による脳梗塞
【服用薬】
・アムロジピンOD錠5mg(血圧降下・狭心症の改善)
・クロビドグレル錠75mg(血栓予防)
・カンデサルタン錠8mg(血圧降下・心臓の負担軽減…当初は脳血栓予防薬)
【薬の服用歴】2012年の治療開始時は1日3回服用⇒5年後に1日1回服用へ(後発薬使用)
【喫煙】あり(過去に)
【飲酒】あり(発症時)
【医師からの指示】食生活を含む生活様式の改善
もくじ
前兆
多忙な仕事で疲労困憊と飲み会が何か月も続いたことから最悪の体調となっていました。
肩こりと頭痛に悩まされ、整骨院でのマッサージやイブプロフェン製剤を服用しながら目前に迫ったゴールデンウィークの休みまで無理をしていました。
待望のゴールデンウィークに入り、しばらくはゴロゴロ過ごしていましたが、疲れは取れず肩甲骨と背骨の間や首から肩にかけての筋肉はガチガチに固まり、首を曲げることさえできないほどの状態に陥っていました。
発症した頃の様子
車旅行での異変
ゴールデンウイークも中盤になり、こどもの日の前日からドライブを兼ねた家族旅行で、父親としてドライバーを担当しました。
渋滞の車内で居ても立っても居られない泣きたくなるような倦怠感が押し寄せてきて、やがて激しい頭痛と肩こりが襲ってきました。
妻とドライバーを換わってもらい、シートを傾けて膝を曲げダッシュボードの上に足を乗せ、吹き出す汗を鎮めるためにエアコンの冷風にあたって到着地までの約4時間は動かず静かにしていました。
目的地に到着しましたが、膝を曲げていたせいか足にしびれが感じられ、歩きにくいことから自分だけ車内で待つことにしました。
ひと寝りして目が覚めると異常なほど喉が渇き、水分を補給するためにペットボトルに手を伸ばしましたが、蓋を上手く開けることができません。
あきらめて外に出ようと身体を回したら車から落下、這いつくばいながら車内に戻って家族を待つことにしたわけです。
受診までの間、悪化する症状
身体には麻痺が表れていて、妻に電話を掛けることさえ思いつかず、ひたすら車内で待っていたわけです。
動物園を堪能した家族が戻ってきて、顔や服についている土を見て異変に気が付きます。
すでに正常な判断ができない状態だったのですが、「自宅に戻って近くの病院で診察を受ける」と言い出したようで、妻はハンドルを握り帰りの渋滞道のなか自宅についたころには暗くなるころでした。

ゴールデンウィークは休診なので、明日良い病院を探して診察を受けると言い出していたようです。
後から考えると救急病院に駆け込むべきでしたが、妙に説得力のあることから妻は同意したようです。
自宅で寝ているうちに痛みが薄らいできたことから、ゴールデンウィーク明けに大きな病院でしっかり検査を受けることにしてしまいます。
ところが左手と左足に力が入らず上手く立ち上がることができず、ここで自分が半身麻痺になっていることに気が付きます。
ここで「もう、どうすることもできないだろう」と諦めてしまい、後に最悪の判断となったGW明けまで待って大学病院に行くことにしてしまったのです。
病院での診察と治療
発症から丸3日間が経過し、半身と顔面に麻痺症状が出ていることから、すぐに診察をしていただくことはできました。
しかし、最初の血圧測定で250以上の異常値がでてしまい、血圧降下剤で血圧を下げてから検査を開始するといわれ、しばらくは車椅子で待機することとなります。

血圧が250以下になったところでMRIによる断層写真を撮り、左右の脳に出血が見つかり運動機能の麻痺の原因が判明しました。
ただ、運動機能を阻害している部分がわずかであることから新薬を投与すれば回復する可能性があるとの説明を受けました。
すでに麻痺は手や足だけではなく顔にも表れていて、口が縦になるほど曲がってグラスで水を飲むこともできない状態でしたから、選択の余地なく新薬を試すことにしました。

入院中には、新薬の効果があったおかげか両腕の点滴が片手に、車椅子から歩行になり、徐々にですが回復していることに実感が湧き、心躍る思いでした。
一定期間ごとに撮影するCT検査と運動機能を戻すためのリハビリ以外はのんびりと過ごしこともあって、結果は良好で3か月後に退院することができました。
予後と服用している薬

退院後もリハビリに通い、また食生活の見直しと断酒を厳格に守り、1日3回服用だった薬も10年たった現在では1日1回となりました。
『アムロジピンOD錠5mg、クロビドグレル錠75mg、カンデサルタン錠8mg』の計3錠は忘れずに毎朝飲んでいます。
まとめ

生活習慣の乱れと飲酒が要因で血液がドロドロ状態となり血流が悪くなって、さらに窮屈な車内でのエコノミー症候群が直接原因で脳梗塞が発症したようです。
発症後は正常な判断ができないのにもかかわらず、診察を延ばしたことで悪化し麻痺が残ることなったわけです。
左手は約半年ほどで自由に動かせるようになりましたが、左足は一部麻痺が残り1年ほどで少しだけ引きずる程度で歩けるようになりました。
顔のゆがみは若干残りましたが目つきは改善しました。
一方で軽度だと思っていた失語症は意外に重く、長い会話が難しい状態となっていました。
リハビリを兼ねてパソコンで文章を作ることを続けてこともあり、徐々に回復はできましたが、以前のような社用プレゼンテーションやディスカッションなどは現在もできていません。
再発しないよう正しい生活様式、断酒、薬の服用の3点は気を付けるようにしています。
メッセージ
脳梗塞は発病したらすぐに病院にかかること、また事前に発病したら正常な判断ができないことを家族に伝えておくことが大切です。
治療は「早ければ早いほど回復の可能性が高い」といわれているので、異変を感じたら検診だけでも受けるようにしましょう。
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