【ep142】自然気胸の経験【ストレスを溜めすぎないで】

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

◎この記事の中の人プロフィール◎
【年齢】29歳
【職業】Webライター
【喫煙】なし
【飲酒】なし
【既往歴】なし
【疾患名】左自然気胸(19歳の時に発症)

気胸になったのは10年前のことで、大学で体育の授業を受けている最中でした。

それまで大きな病気をしたこともなく、健康について特に不安もなく過ごしていた中、突然の出来事でした。

痛みを感じてから、退院するまでの体験談をご紹介したいと思います。

もくじ

自然気胸とは

自然気胸とは、簡単に言うと肺に穴が開く病気です。

穴と言っても、針が通るくらいの小さな穴ですが、そこから空気が漏れてしまい、うまく呼吸ができなくなります。

原因ははっきりとは分からず、激しい運動をした時や、ストレスや成長期の影響で起こるとも言われています。

一般的には、やせ型・高身長の男性がなることが多いそうですが、女性でもなる場合があります。

女性の場合、月経随伴性気胸と言って月経前後に気胸になることもあり、子宮内膜症が原因のひとつにあります。
自分が発症した時は月経の前後でもなく、子宮内膜症でもなかったため、自然気胸と判断されました。

気胸になると、軽度の場合は自然治癒で治りますが、肺のしぼみ方が大きい時や再発した時は手術を勧められることもあります。

病気になって感じる事

自然気胸は、それまで健康だった人でもなる可能性がある病気です。

また、予兆などはなく、けがや事故のように、ある日突然なってしまいます。
呼吸さえできればすぐに死ぬことはなく、大したことはないと言われるのですが、急に病院で管に繋がれ穴を開けられることは突然のこと過ぎて、とてもショックでした。

偶然にも私の友人が気胸を3度経験しており、ざっくりとどんな病気なのかを知っていました。
そのおかげで、実際に自分が呼吸困難になった時も冷静に判断できたのではと感じます。

インフルエンザ等とは違って、誰もが知っていて罹ったことがある病気ではないので、病気のことを知っている人と痛みや辛さを共有できたことが、ひとつの励みになりました。

気胸の治療経過

突然の胸の痛みと呼吸困難

当時、私は大学生でした。健康に不安なところもなく、大学で授業中にテニスをやっていた時のこと。

左胸にズキン、という痛み。

それは、「心臓が痛い」という感覚とは全然違いました。
左わきを何かで刺されるような、鋭い痛みです。

そこまで激しく動いていた訳でもなく、座って休んでも痛みが消えない。
そんなことは初めてでした。

呼吸する度に痛い。
しかも、深呼吸すればするほど、どんどん息苦しくなっていきます。

その時、私の頭の中にすっと浮かんできた可能性。

「もしかして、これが気胸?」

自分ではどうにもならないと判断し、保健室に向かいました。
意識もあるし大丈夫だろうと思っていたら、保健室までの坂道で呼吸困難に。
ほとんど過呼吸状態で、息ができないこと、痛みがあること、そして気胸ではないかと伝えました。

先生が酸素ガスをすぐに吸わせてくれて、息苦しさや耳鳴りが少しずつ収まっていきました。

でも、痛みは消えません。
先生にも気胸と判断され、すぐに近くの病院に搬送されました。

完全に肺がしぼんでるよ

病院に着いてすぐ、レントゲン写真を撮りました。
その最中もずっとズキンズキン。

レントゲン写真の
 イメージ

立っているのもつらいのに、酸素ガスを自分で持たされ、ふらふらなのに歩かされ、息も絶え絶えでした。

左肺が完全にしぼんでいます。肺の外に出ちゃった空気を抜くから、管を挿しますね。」

レントゲン写真で見た私の左肺は、握りこぶしくらいの大きさになっていて、高度気胸と言われました。

気付いたらベッドの上。
左わきの下には、直径1cmくらいのチューブが挿さっていて、それがポコポコと音が鳴る機械に繋がっていました。
胸腔ドレナージといい、肺やその周りに出てしまった空気を、機械でコントロールする治療です。

自分の体に穴が開いていて、チューブが挿さっている。
冷静に考えても、まるで自分のことではないような感覚でした。

あっという間に手術へ

どこへ行くにも機械を連れていかなければならないし、歩く度にチューブが当たって激痛でした。

少しでも体を動かそうとすると、ズキンと痛むのです。

先生からは、穴が数か所あることと、胸腔ドレナージをしても空気の漏れが治らないことから、手術を勧められました。

わきにメスを入れ、そこからカメラや器具を入れて、肺の穴が開いている部分を切除し、残った部分を縫い合わせる胸腔鏡下肺部分切除という手術です。

入院から3日目の朝。
手術は全身麻酔で、ほとんど覚えていません。

術後にかなりの高熱が出たり、悪寒でガタガタふるえたりしたことだけが記憶に残っています。

数日は点滴のみで生活し、その後少しずつ食事も摂れるようになりました。

チューブを抜いた傷口は、なかなか治りが悪く、ズキズキと痛みました。
度々ガーゼが膿だらけになってしまい、体を動かす度に痛かったです。
手術をしてから1週間後に退院することができました。

左わきの手術痕
(10年経過した現在の写真)
左脇の少し下、ドレナージの痕
(10年経過した現在の写真)

幸い、1度の手術のみで再発はありませんが、10年経った今でもドレナージの痕は痛むことがあります。

それ以外は、運動や海外旅行なども楽しむことができています。

まとめ

原因は分からないと言われましたが、ストレスが原因のことが多いそうです。

当時、企業でインターンシップをしていたのですが、嫌なことばかりで続けるかどうか悩んでいました。
病気になった時、「もう行かなくて済む!」とほっとしたのを覚えています。

精神的に大丈夫、と思い込んでいても、体は無理をしていたのかもしれません。

気胸を経験してからは、ストレスをため込み過ぎないよう、悩みを誰かに話したり、本当に嫌なことはしないようにしたり、気をつけています。

同じ病気にかかっている人へのメッセージ

自然気胸はすぐに退院できるし、大したことないと言われがちですが、なってしまった本人からすれば大きな病気であることに変わりありません。
自分の体が無理をしていることを受け止めて、しっかりと休息する時間を作ってほしいなと思います。

また、飛行機やダイビングなど、気圧の変化が大きい場所では再発のリスクが高まるとされていて、完治後も無理は禁物です。

しかし、再発を恐れて「あれもできない、これもできない」と思ってしまうと、その後の人生が気胸にしばられることもあります。
自分の体と向き合う時間が取れたら、その後は病気にしばられ過ぎずに、好きなことに挑戦する気持ちも大切にしてほしいと感じます。



カテゴリー:体験談

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