薬剤師からみた”薬学”~薬学の魅力~

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

現役保険薬局薬剤師が「薬学・薬」についてお伝えします。

薬学って?

薬学はミクロな実験の集大成

“薬学”とはなんでしょうか。

薬学とは、「薬」に含まれる物質の構造や変化の仕組みを理解して、それを人の健康に活かす取り組みを行い、薬物を総合的に科学するものです。

具体的には、医薬品の効果・効能、製造方法、管理、供給などについて学び、医学分野とも協力しながら、人々の回復を手助けする「薬」の可能性を研究する学問とされています。

現代の医療において、医学は大きな進歩を遂げていますが、一方で新しい病気が次々に発見されています。これらに対し新しい治療薬を開発することや、副作用を研究すること、より効率的な製造法を生み出すことが薬学における課題となっています。

日々“薬学”が進歩していくことで、多くの人々が時間をかけて病気と闘ったり、あるいは完治しにくい病気とうまくつき合って生活したりすることができます。

「薬」は命をつなぐ重要な役割を果たしています。

現代では、病院などの医療機関に行かなくとも、薬局やドラッグストアなどで手軽に購入することができる医薬品も増えてきており、「薬」は私たちの生活の中に身近な存在となってきています。

現代の日本人は以前と比べて、食の欧米化やデスクワークの増加に伴う運動不足などで生活習慣病にかかる割合が高くなってきています。健康的な食生活を意識することがとても重要ですが、多忙により多くの方が偏った生活を送りいつの間にか病気にかかり、悪化している可能性があります。そこで、病気を悪化させない、病気にならないためにもくすりの力を借りることで健康寿命を延ばす第一歩となります。

ここまで、「薬」の重要性についてお伝えしましたが本来「薬」とはどのようなものをいうのでしょうか。

薬って何?

「薬」とは、自然界にある多くの植物や、一部の動物や鉱物などを起源としたものでした。様々な病気や痛み、傷きずなどの治療に役立つものを、自然界から経験的に見つけ出し、用いたのが始まりです。

現在、日本で「薬」として国で承認を受け、医療機関で出すことができる薬で登録されている数は“約14千程度”とされています。

毎日、製薬会社や研究機関で“薬学”に特化した方々が研究に励み、治療に効果的な「薬」の成分をみつけて、薬の効果や安全性を確認するための治験と呼ばれる審査を通ったものが私たちが目にする「薬」です。研究期間を含めて承認されるまでに数十年とかかるものもあり、莫大な金額と多くの人たちの力で生み出されるのです。

この1万4千程の「薬」は主に以下の3種類に分けられます。

医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品

まず、医療用医薬品とは、病院や診療所などで、医師が診断した上で発行する処方箋(しょほうせん)に基づいて、薬剤師が調剤して渡される薬です。医療用医薬品は、“病気を治療する、症状を改善させる”ことが目的です。私たち薬剤師が直接患者さんに薬をお渡しするので、いわゆる服薬指導といわれる、薬の使用方法や薬を飲んだ後考えられる体調の変化など薬学的な知識を用いて説明をします。決まっていつも同じ薬局、ドラッグストアに行くようであれば、薬の管理状況、服薬状況も確認することが出来るため、この3種類の薬の中でも治療として最も重大な薬です。

次に、要指導医薬品・一般用医薬品とは、患者さんがドラッグストアや薬局にて自分で選んで買うことができる薬です。上記の医療用医薬品のように病院に行かずとも自分の体調をみて購入することができます。

要指導医薬品は、医療用医薬品から市販薬に転用されたばかりの薬を指します。市販薬として新しいうちは、まだ取扱いに十分な注意が必要で、より安全に使用されるように、購入の際には必ず薬剤師から対面での指導や情報提供を受ける決まりになっています。

一般用医薬品は、副作用や薬の飲み合わせなどのリスクの程度に応じて、3つのグループに分類されています。それぞれ、販売時のルールや情報提供の必要性などが決められています。

3種類の「薬」はいずれにせよ私たち健康に寄り添ってくれる重要なツールとなります。中には、危険ドラッグとも呼ばれるものも存在します。「薬」の本来の正しい使い方を守っていただくためにも、薬剤師や登録販売者などにきちんと相談して「薬」と向きあっていただきたいです。

薬学を活かそう。

“薬学”を学び、「薬」について理解し、考え、医学の進歩とともに多くの疾病と闘ったり、健康寿命を延ばすために寄り添うためのお手伝いをするのが薬剤師の仕事です。

「薬」の専門である私たち薬剤師が“薬学”を更に追求していくことももちろんですが、一般用医薬品のように自分で「薬」を選択し自らで体調を管理していく時代でもあるため、一人一人が“薬学”に関心も持って生活をしてみてください。

“薬学”がもっと発展していくことで更に医学が進歩し治療の幅も広がります。正しい”薬学“を学び、生活に活かしていきましょう。


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カテゴリー:”薬”立つ情報, 薬剤師【薬】

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