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現在、小学生の6人に1人は便秘だと言われています。子どもが大きくなるにつれ、毎日ちゃんと排便をしているか、かたい便が出ていないかなど、親もそこまで気にしておらず確認していない、という方もいらっしゃることでしょう。
実際、便秘の子ども達の約半数は、誰にも相談したことがないという報告もあります。
実は、子どもが悩んでいるかもしれません。
うちの子、大丈夫かな?
今日は小学生の便秘についてお話しします。
便が出ないだけが便秘じゃない
便秘というと、定期的に便が出ない状態と思われるかもしれませんが、実はそれだけではありません。
毎日出ていても、便がかたくて出すときに痛い、おしりが切れて血がトイレットペーパーにつくことがある、なども便秘の可能性があります。
以下のいずれかに当てはまらないかお子さんに聞き、家での様子に注意してみましょう。
- 便をするのが一週間に2回以下
- 便がかたく、出すときに痛い、トイレットペーパーに血がつくことがある
- おしりが痛いのでトイレに行って排便したがらない、我慢する
- トイレを詰まらせるほどの大きい、もしくは大量な便が出たことがある
- 小さい便しか出ないので何度もトイレに行く
- 週に一回以上、便をもらしてしまうことがある
- おなかが張っているように見える、おならをよくする
いつ病院に行ったらいいの?
便秘の症状が一時的で、自然に改善すれば問題ないのですが、便が5日以上出ていない、腹痛や吐き気がある場合には早めに小児科を受診しましょう。
便秘の状態が1~2か月続くと、それは“慢性(まんせい)便秘症”と呼ばれるようになります。腹痛や吐き気といった症状がなくても、改善していく様子がみられないようであれば一度受診を考えてみてください。
慢性便秘症には、腸など便の通り道に何か問題がある、もしくは他の病気が原因で便秘になる器質性(きしつせい)便秘と、それ以外の、明らかな病気がない機能性(きのうせい)便秘があります。
これまでの経過から慢性便秘症と診断された場合には、診察に加え、必要があれば検査を受けながら、便秘を起こす病気が隠れていないかを調べていきます。もし何か病気が疑われる場合には、小児外科や泌尿器科の医師に診てもらうこともあります。
子ども特有の”心因性便秘”って?
大人と比べ、子どもならではの便秘に、“心因性(しんいんせい)便秘”というものがあります。
これは小学校へ入学して環境が変化したことによるストレスや、学校でトイレに行くのがイヤ、便をする時に痛いなどの理由で排便を我慢することによって起こる便秘です。
排便を我慢していると、たまった便は水分がどんどん腸から吸収されてさらにかたくなり、出すのが痛いのでさらに我慢する…という悪循環に陥ってしまいます。
肛門近くに大きな便がたまった状態が続くと、便意を感じづらくなる場合もあり、さらに便がたまり便秘が悪化します。
~受診エピソード紹介~便秘解消のために家でできること
相談者:7歳の女の子(第2子)を持つお母さん
来院背景:2週間ほど前から娘が、便をする時におしりが痛いと言う。便は毎日出ておらず、だいたい1日おき。トイレットペーパーに血がついたり、便をもらしてしまったりすることはない。本人は元気で吐き気や腹痛なし。これまで便秘で通院したことはなく、他に通院や入院が必要な病気にかかったこともない。何か便秘の薬を飲んだ方が良いのか、相談したくて来院。
Q.これまでもたまに、コロコロしたかたい便が出ていたようなのですが、痛いというようになったのは今回が初めてなので…気になって連れてきました。便秘ぎみなんでしょうか?
A.そのようですね。便は1日おきに出ているので間隔は問題ないのですが、出る時に痛みをともなうというのは便秘の症状の一つです。
Q.何か薬を飲んだ方がいいですか?
A.お子さんの場合、診察した結果とこれまでの経過から、便秘を起こす病気がすぐに疑われる訳ではないのと、便がひどくたまっている様子もないので、まずは生活習慣や食生活の見直しから始めてみましょう。それで様子を見て、症状が改善しないような場合には、お薬を処方することもあります。
Q.生活や食事、どういったことに気をつければ良いですか?
A.まず生活についてですが、基本的には早寝早起きという規則正しい生活リズムが大切です。毎日朝ごはんをちゃんと食べ、学校に行く前に排便を済ませる習慣をつけられるといいでしょう。
小学生になると、学校で便をしたくない、しづらいと思う子もいるので、朝早めに起きて食後にトイレに行く時間を確保できるよう、ゆとりを持てるようにするといいですね。そのために、早く寝るのも大事です。
食事がどのくらい便秘を改善するかというのは、はっきりとはわかっていません。しかしバランスの良い食事が子どもの健康面に関しても一番良いです。
食物繊維を含むもの、野菜や果物、海藻、豆類、芋類などは積極的に取れるといいですね。その中でも、比較的子どもが食べやすい豆や芋、果物、野菜の中ではコーンやかぼちゃなどは食物繊維が多めなのでお勧めです。
あとは主食(ごはんやパン)をしっかり食べるのも大切で、これは便の量を増やしてくれるからです。量が少ないと排便が進まないので、便が腸の中に長くとどまることになり、かたくなって出にくくなってしまいます。
水分に関しては、多く取れば取るほど便秘が改善するという訳ではないようですが、脱水ぎみだと便もかたくなるので良くありません。春から夏にかけて、汗を多くかく季節には、こまめな水分摂取を心がけましょう。
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