【臨床検査技師監修】アラフィフ男性必見!排尿で違和感を感じ始めたら(前立腺肥大症)

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中年男性の方に質問です。

「最近トイレが近いなー。」とか「尿をしたあと何かスッキリしないなー。」などを実感したことがありますか?

また、それを年齢のせいにして放置していませんか?

もしかしたら、それは男性特有の病気かもしれません。

今回は、男性の尿に関する代表的な病気、前立腺肥大症について解説していきます。

前立腺

前立腺とは、どのような臓器なのでしょうか?

男性にしかない生殖器の1つです。

前立腺は、膀胱の出口にあり尿道を取り囲むようにして存在しています。

また、前立腺の大きさは、一般成人男性で「クルミや栗くらい」と言われています。

前立腺は、精子の栄養源となる前立腺液を生成します。

その前立腺液は、以下のような役割を担っています。

  • 精子に栄養を与える。
  • 精子の運動能力を高める。
  • 精子を保護する。

では、前立腺肥大症とは、どのような病気なのでしょうか?

前立腺肥大症

前立腺が肥大することで尿道が圧迫されて排尿障害を起こしてしまう病気です。

通常であれば、クルミや栗くらいの大きさの前立腺が、肥大すると卵やテニスボールほどの大きさになります。

この前立腺肥大症は、良性疾患のため、肥大が進行しても悪性の前立腺がんに変化することはありません。

前立腺肥大の頻度は、50歳頃から増加しはじめ、年齢とともに肥大の割合が増えてきます。

  • 50歳代 20~30%
  • 60歳代 60%
  • 70歳代 80%
  • 80歳代 90%

このことからも前立腺肥大には、加齢が大きな要因となっていると言えますが、肥大している全ての方が治療対象となるわけではありません。

この中には、前立腺が肥大していても排尿障害や合併症などを伴わない人も含まれています。

前立腺肥大症の治療対象となるのは、この中の25%程度だと言われています。

また、他にも遺伝的要因、生活習慣(食生活・高血圧・高血糖など)などが前立腺肥大の要因としてあげられます。

原因

前立腺肥大症の原因については、現段階ではハッキリと解明されていません。

ただ、加齢による男性ホルモンを含んだ性ホルモンのバランス変化が何らかの影響を及ぼしていると考えられています。

症状

前立腺肥大症になると、特徴的な症状がみられ、3つに分けることが出来ます。

◆排尿症状(排尿困難)

  • 尿の勢いが弱い(尿勢低下)
  • お腹に力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)
  • 排尿中に何度も尿が途切れる(尿線途絶)
  • 尿が出るまでに時間がかかる

◆蓄尿症状

  • トイレが近い(頻尿)
  • 急に我慢できない尿意をもよおす(尿意切迫感)
  • トイレまで間に合わず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)

頻尿の基準は、朝起きてから就寝までに8回以上、就寝後に1回以上排尿のために起きる場合としています。

それに該当する場合を、それぞれ「昼間頻尿」「夜間頻尿」としています。

◆排尿後症状

  • 排尿後、スッキリしない。 尿が残っているような感じ。(残尿感)
  • 尿が終わったと思って下着をあげると中に漏れてしまう。(排尿後尿滴下)

合併症

前立腺肥大症は、病気が進行してくると様々な合併症を引き起こす危険がありあす。

その合併症には、過活動膀胱、尿路感染、尿閉塞、膀胱結石、腎機能障害などがあります。

なかでも、過活動膀胱は前立腺肥大症の50~70%が合併しています。

過活動膀胱とは、尿意切迫感と頻尿を伴ったもので、膀胱内に尿が十分に溜まってないのに、勝手に膀胱が収縮して強く尿意を催してしまいます。

検査と診断

◆問診

病院に受診すると、まず問診で「IPSS(国際前立腺症状スコア)」を用いて、自覚症状を点数化します。

これにより客観的に自分の病状を知ることが出来ます。

IPSS(国際前立腺症状スコア)は、下記の7項目にたいするスコアを合計して評価していきます。

  1. 排尿後、尿が残っている感じがありましたか?
  2. 排尿後、2時間以内にトイレに行かなくてはならないことがありましたか?
  3. 排尿の途中で尿が何度も途切れることはありましたか?
  4. 尿を我慢するのが難しい事がありましたか?
  5. 尿が出る勢いが弱い事がありましたか?
  6. 尿をし始めるときに、お腹に力を入れるときがありましたか?
  7. 夜寝てから朝起きるまでに何回尿をするために起きましたか?

0~8点:軽症 9~20点:中等症 20点以上:重症

*尿が全然出ない状態が繰り返される時は、合計点数に関わらず重症と判断します。

◆検査

前立腺肥大症を調べるための代表的な検査を4つ紹介します。

⓵超音波検査

前立腺超音波検査は、膀胱に尿が貯留した状態で検査します。

検査手順は、前立腺の前に膀胱を観察して、膀胱内の結石、腫瘍などの有無について確認します。

 前立腺は、大きさ(容積)と形、左右対称の有無、肥大の有無、膀胱への突出の有無、内部と辺縁の性状などについて観察していきます。

大きさ(容積)を計測することで重症度を区分することが出来ます。

  • 正常または軽症 20㏄未満
  • 中等症     50㏄未満
  • 重症      50㏄以上

前立腺の断面は、正常は三角形または半月型ですが、前立腺肥大は円形をしています。

前立腺肥大が進行すると前立腺内部に結節がみられ、辺縁もゴツゴツした感じになります。

また、膀胱への突出像が見られます。

②血液検査

腎機機能(尿素窒素、クレアチニンなど)や前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)の検査をします。

③尿流量測定(ウローフローメトリー)

測定装置の付いたトイレに向かって尿をして、排尿量や排尿時間などを計測して尿の勢いを調べます。

前立腺肥大症の流量曲線は正常な人と比べ低い曲線に出てきます。

④直腸診

肛門から指を入れて、前立腺の大きさ、硬さ、表面を触診します。

治療と予防

◆治療

前立腺肥大症の治療は、症状が軽いときは薬物療法で様子を見ていきます。

しかし、症状が進んでいる場合は、手術がひつようとなります。

経尿道的前立腺切除術(TURP)という内視鏡手術が最も一般的な手術療法です。

◆予防

前立腺肥大症の原因は、まだ明らかにされていません。

症状が出ないようにするには、日常生活で前立腺や膀胱などに繰り返し刺激を与えないようにするのが良いとも言われています。

長時間の座った状態、寒冷所での作業をしている場合は、定期的に立って体を動かす、体を温めるなど意識してみると良いかもしれません。

健康寿命を延ばして豊かな人生を!



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