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腰の痛みの原因は色々あるという事は分かるけど、自分の腰痛の一番の原因は何なんだろう?お医者さんに行って診てもらったんだけどあまり良くならないんだよなぁ。
※今回の記事は、【理学療法士】腰痛の原因の多くは『腰以外』に【前編】の続編となります。
まだご覧いただいていない方は是非【前編】からご覧ください。
【前編】では腰痛について知っていおいて欲しい基礎知識について、理学療法士としての視点からお話させて頂きました。
後編では、実際に多く見られる2つの腰痛のケースを例に挙げながら、原因と対策について掘り下げてみたいと思います。
是非最後までお付き合いください。
もくじ
ケース①:腰は柔らかいのに痛みが続く
普段はデスクワークでパソコンを使うことが多いんです。でも、座りっぱなしは腰に悪いし、普段から座る姿勢には気を付けているんですよ。腰回りのストレッチなんかもやっています。
だから腰はけっこう柔らかいハズなんですが・・・。
座っている時も寝ている時も腰が痛いんですよね。
お医者さんに行っても骨に異常はないって言われるし、どうしたらいいものか。
30代後半の医療事務をしている女性のケースです。
ポイントは
- 腰回りの柔軟性は保たれている
- 寝ている時も痛みが出る
- 骨には異常がない
という3点。
こういった症状は特に女性に見られることが多く、いつも腰が痛いから休日にツボ押しやマッサージに行って腰をもみほぐしてもらっている、といった方も少なくありません。
ただ、状態にもよりますがこのようなケースの方は腰をもみほぐすことで一時的に楽になったとしても、根本的な解決は難しいでしょう。
原因は腰の硬さではなく、首や背中の硬さ
この方の普段の姿勢を見ると、なで肩でストレートネック気味。座った姿勢はパッと見たところ背すじが伸びているように見えますが、腰より上…背中の部分が丸まっていました。
仕事中は普段からパソコンと対峙しているという事もあって、若干あごが前に出たような姿勢になっていることが多いそうです。
おそらく、このような姿勢でしょう。
こういった姿勢をとりがちな方の、腰痛の主な原因となりやすいのは
- 背中と胸郭(肋骨)の硬さ
- 首の硬さ
腰部はむしろ背中や首の硬さを補って必要以上に可動性・柔軟性を確保しようとしている場合が多いので、もみほぐし過ぎると更に背中や首の硬さを助長してしまう可能性すらあるので、注意が必要です。
どんな対応策をとるべきか?
自分で行ないやすい運動は以下の通りです。
胸を張って肩を前後に回す運動
背中や首が硬い人は肩甲骨がしっかりと動かせていない人が多いので、胸を開いた状態で肩を回すことで肩甲骨の動きを確保しましょう。
頭の後ろで手を組んで腰を左右にひねる運動
背中や首が硬い人は、胸郭が硬く上半身を左右に捻じる動きが苦手な場合が多いです。頭の後ろで手を組み身体を捻じることで胸郭に動きを出しましょう。
顎を引いて首を左右に捻じる運動
首の硬さは背中の硬さに波及します。顎を引きながら左右に首を捻じることでストレートネックの緩和が図れます。
以上の運動を継続的に行うことで背中や首の硬さが軽減されれば、腰にかかる負担も軽減し腰痛も楽になるでしょう。
ケース②:腰を伸ばしたいのに伸びない
お医者さんはね、腰の骨はそんなに曲がってないから大丈夫っていうんですよ。
でも伸ばそうと思っても腰が全然伸びなくて。立っていても歩いていても腰が伸びないもんだから、いつも腰が痛くなっちゃって・・・。
続いてのケースは70代の女性。農家の育ちで、若い頃から畑仕事を頑張ってきたそうです。そのため足腰の筋肉は70代とは思えないほどしっかりしていました。
ポイントは
- レントゲンでは背骨は比較的まっすぐ
- 自分で腰を伸ばそうと思っても伸びない
- 畑仕事で屈む姿勢をとることが多かった
この3点。
畑仕事を頑張っていたという方は腰骨そのものが曲がってしまっているという方も多いのですが、この方はレントゲンの結果背骨はそれほど曲がっておらず真っすぐだったと言われたそうです。
腰回りは確かに硬いのですが・・・腰が伸びない本当の原因は他にありそうです。
硬くなっているのは股関節を曲げ伸ばしする筋肉
この方の場合、腰そのものよりも、股関節を曲げたり伸ばしたりする筋肉が硬くなっていました。
股関節を曲げることを股関節の屈曲
股関節を伸ばすことを股関節の伸展
というんですが、筋肉が硬くなってこの両者の可動域が小さくなると、腰に大きな問題が無くても、上手く腰が伸ばせなくなります。
どんな対応策をとるべきか?
自分で行ないやすい運動はこちら。
しっかりと股関節を意識したブリッジ運動
股関節の付け根をしっかり伸ばしながらブリッジ運動を行うことでお尻の筋肉を鍛えながら股関節の前の筋肉をストレッチできます。
足を後ろに大きく振る運動
把持物に掴まりながら出来るだけまっすぐな姿勢を保ち、足を大きく後ろに振り出すことで股関節を伸ばす筋肉をしっかりと使うことができます。
これらの運動を行なうことで、股関節周りの柔軟性が改善してくると腰も伸ばしやすくなってくるでしょう。
また、過度な負担にならないようであれば普段から時々うつぶせに姿勢になり、股関節を伸ばす癖をつけておくという事も重要です。
股関節の運動と言うと太ももを持ち上げるような運動をイメージされる方が多いと思いますが、腰痛等の問題になりやすいのはむしろ股関節を伸ばす筋肉を使えていないケースが大半です。
普段から股関節を伸ばす意識は大切にしましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は【前編】と【後編】に分けて腰痛についてのお話をさせて頂きました。
皆さんを悩ませる腰痛、実は腰以外の部位に問題があるというケースが多いという事をご理解いただけたのではないかと思います。
もし、お医者さんに行って診てもらったのに腰の痛みが良くならない、と思ったら・・・今回お話した2つのケースを疑ってみてください。
もしかしたらご自分で運動を続けることで腰痛を緩和できるかもしれません。
ただ、自己判断での過剰な運動で症状を悪化させるというリスクもありますので、まずはしっかりと専門家に指示を仰ぎましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ライター名(ランサーズ名):寺澤 慶大(テラサワ ヨシヒロ)
<経 歴>
急性期脳神経外科病院のリハビリ科で6年勤務
リハビリ特化型デイサービスで1年半勤務
脳神経外科病院併設のデイケアで4年半勤務
現在はデイサービスで機能訓練を行いながら自費診療で自身のクライアントのフィジカルケア、医療系コラムを中心としたWebライターのお仕事もさせて頂いています。