【ep58】ADHDとの付き合い方【大人になってからの診断】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

発達障害の中でもADHDは、近年だいぶ社会に認知されるようになってきました。
しかし、詳しくADHDについて知っている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。
今回はADHDの基礎的な知識、そしてADHD当事者の私が今まで経験したことをお話しすることで、私と同じように困っている大人の方々の参考になればと思います。

もくじ

ADHDの特徴

ADHD(英:Attention deficit hyperactivity disorder)とは発達障害の一種で、日本では「注意欠如・多動性障害(または注意欠如・多動症)」と呼ばれています。

年齢に不相応に、
●じっとしているのが苦手
●不注意でミスが多い
●一つのことに集中できずにあれやこれやと手を出してしまう
●片付けが苦手
●衝動的に行動してしまう
などの特徴があります。

ADHDの中でも、多動性・衝動性の特徴が強く表れるタイプの人』と、不注意の特徴が強く表れるタイプの人』がいます。

「私はADHD?」と思い始めたきっかけ

私は大学に入った頃から、極端に物覚えがひどくなりました
特にひどいのが忘れ物でした。
大学の研究室から帰るとき、必ず何か忘れていくのです。
途中で思い出して研究室に戻るのが日課のようになっていて、周りからは「あ、やっぱりまた帰ってきた」といつも笑われていました。

今から約30年前のことですので、当時はまさか自分がADHDという発達障害の一種だとは思ってもみなかったです。

その後、たまたま20代の終わりに別の病気で精神科に通院するようになったのですが、その頃ちょうど発達障害が世間でクローズアップされ始めていました。
そして、ADHDの特徴を知って「私の症状、これかもしれない?」と思いました。

気になったので持病の診察のついでに精神科の主治医に尋ねてみました。
すると主治医は「自分で図書館で本を借りて、調べてみたらどう?」とおっしゃいました。
当時は、ADHDかどうかを本格的に検査する病院が日本に数ヶ所しかなく、当時私が通っていた地方の病院では検査が難しかったのです。

さっそく本を借りて読んでみて「あ~、やっぱり私の症状は当てはまるなぁ」と感じたのを覚えています。
しかし、その頃の私は持病の方の症状が重く、ADHDの方の治療どころではありませんでした。

そこから10年ほど、気になりながらも放置した状態になっていました。
しかし、やはり日常生活の中で困りごとはよく起こりました。
特に困ったのは家の鍵をなくしてしまったり、銀行通帳をどこにしまったかわからなくなってしまったりしたことです。
「やっぱり私はADHDじゃないだろうか? もしそうだとしたら治療を受けたい」と改めて思ったのが40代半ばの頃です。

転居のため、以前かかっていた精神科病院とは違う病院の主治医に相談しました。
そして、臨床心理士さんを紹介してもらい、大人のADHD向けの検査を受けることになったのです。

ADHDの検査を受けて

ADHDの検査

最初に臨床心理士さんから宿題をもらいました。

2人の人が話している絵がいくつか書いてあって、相手が言ったことに対して自分はどのように返事をするか書き込むテストでした。
後から思えば、このテストは直接ADHDかどうかを調べるテストではなく、私の性格の傾向を見るためのテストだったのだと思っています。

その後、3回にわけてさまざまな検査を行いました。
筆記試験、ロールシャッハテスト(意味のないシミの絵を見せて、どのようなイメージを持つかを答えるもの)、パズルなどの心理検査を受けたように記憶しています。

検査の結果

検査の結果は『ADHDかもしれないし、違うかもしれない』、つまりグレーゾーンということでした。

私は既に成人になっていたので、子ども以上に正確な診断は難しいと主治医に言われました。

私が思っていたADHDのイメージ

まだADHDのことをよく知らなかった頃の私は、ADHDといえば小学校でじっと席に座っていることができず、多動が強いイメージを持っていました。
でも、小学校時代の私は多動どころかとても消極的でおとなしく、休み時間ですら自分の席に座っているような子どもでした

後になって、ADHDだからといって必ずしも多動性が表れるとは限らないことを知りました。
そして、特に女子の場合はADHDだとを周りに気づかれずに成長してしまうケースが多いとのデータもあるそうです。

その後の治療経過

先に述べたとおり、結局ADHDなのかどうかわからなかったのですが、実際の生活では頻繁に失くし物をしたり、言われたことを覚えられなかったり、物事に集中できなかったりして困っていることは事実でした。

そして、そのせいで家族に叱責されることも多く、つらい日々を送っていました。
それを理解してくれていた主治医は、グレーゾーンにも関わらず、ADHDの症状を軽減する薬(ストラテラ)を処方してくださいました。

そのおかげで、投薬前に比べて忘れ物はだいぶ少なくなりました。
それから数年経ちましたが、今でもストラテラを服用しています。

相変わらず長時間集中することは苦手ですし、失くし物も結構しますが、なんとか日常生活を送れています。

まとめ

ADHDは、典型的な場合以外はグレーゾーンと診断されることが多いです。
特に、大人になってからの診断はとても難しいです

しかし、検査の結果に関わらず適切な治療や対応によって、会社や家での困りごとを軽減することはできます。

ADHDの方々へのメッセージ

ADHDは、治療を続けても完治するものではありません。
ですから、生活上の工夫がとても大事です。
私は、約束を忘れないためにスマホと紙の手帳を併用することで乗り切っています。

また、パソコンで文章を書く際も、ラジオや音楽を聞きたいのは山々なのですが、集中するために耳栓をして音をシャットアウトするようにしています。

私の体験談が、ADHDのみなさんの参考になれば幸いです。



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