【介護福祉士】高齢者には笑いが足りない?【笑いがもたらす効果と対処法】

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

最近声を出して笑っていますか?

特に高齢になると、若い頃のように笑うことが少なくなるようです。

しかし、笑いは健康促進と介護予防ができるのに無料で無害という、なんとも優秀なサプリメント。

そんなにいいものがセルフサービスできるなんて、利用しない手はないと思いませんか?

今回は、笑いがもたらす効果と笑いを増やすための対処法をまとめてみました。

高齢の方に向けてのお話ですが、お若い方も参考になる部分があると思います。

ぜひご身内やお知り合いの方などとお試しくださいね。

もくじ

笑いがもたらす効果

大きな声で笑うと、少し気分がすっきりします。

緊張した場面でクスっと笑えると、とたんに緊張が解けたりすることもあり、笑いにはリラックス効果がありますよね。

ほかにも、体が汗ばんで顔が紅潮したり、大爆笑ともなると腹筋が筋肉痛になるのではというほどインナーマッスルを使っていることに気づきます。

これだけ見ても笑いはいいものだと思いますが、笑いがもたらす効果はそれだけではありません。

ひとつずつご説明していきますね。

心肺機能にいい

大きく声を出して笑うと腹式呼吸となり、いつもより酸素を多く取り込むことができます。

たしかに、たくさん笑うと下腹に力が入り、肺も大きく使われている感じがしますよね。

年齢を重ねると横隔膜などの呼吸に関連する筋力低下が起こり、酸素を取り込む力も弱まってきます。

笑いが起こることで呼吸機能が(一時的でも)かなり回復するのです。

実際に、肺だけで呼吸するよりも腹式呼吸の方が4倍も空気を吸えるそうなので、笑うことでいつもよりも肺が広がり、新鮮な酸素を体に取り込めます。

また、たくさん酸素を吸うことが刺激となり、副交感神経が活発になった結果、血圧が下がるという効果もあるのです。

血圧の薬が手放せない方も多い中、自然な笑いで血圧が下がるのはありがたいことですよね。

免疫にいい

笑いは免疫力アップにも一役かっています。

免疫力とはなにかというと、体内で悪さをする物質などと対峙するリンパ球の数といっていいでしょう。

その中でも、ウィルスやがん細胞の増加と闘うリンパ球の仲間「NK(ナチュラルキラー)細胞」は、笑うことによって数が増え、働きもよくなることがわかっています。

笑うことによってNK細胞に元気な増援部隊を送ることができるのですね。

免疫力は20代をピークに低下していきます。

自分のためにも存分に笑って、今日もNK細胞に勝利を上げてもらいましょう。

ボケ防止にいい

よく笑う人はボケにくいといいます。

実際に多くの高齢の方と接していると、前向きで明るく、ハキハキとした方は後期高齢(75歳)を過ぎても頭がすっきりしていると感じます。

しかし、長く生きていると、いいことばかりではないですよね。

退職によって仕事を失くしたり、自分の親を亡くしたり。長く生きていると喪失体験が多い分、気持ちがふさいだり、よく眠れないなどの抗うつ症状を抱えている方も少なくありません。

また、うつ症状と初期の認知症はよく似ています。意欲低下や今までできていたことができなくなる、ぼーっとして忘れっぽくなるというのは共通した症状です。

認知機能の低下は認知症だけに起こるものではないのですね。

でも、そこに笑いがあれば、うつうつとした気分を変えることができるのではないでしょうか。

実際に大阪府立健康科学センターの調べでは、毎日笑うグループよりもほとんど笑わないグループのほうが、認知機能に支障がある方の割合が2倍以上多いという結果もあります。

毎日笑って頭も気分もすっきりすることが、認知機能の低下を予防するのです。

高齢者には笑いが足りていない

笑いが高齢の方に良いことばかりであることをご説明しましたが、実際に高齢の方で毎日よく笑う方は少数派です。

その理由には次のようなものがあります。

  • 耳が遠くてテレビやラジオが聞き取りにくい
  • 面白味を感じることが減ってきた、または飽きた
  • 新しいことに興味がいかない、または疲れるので避けている
  • そもそも話し相手がいない

特に一人暮らしの方や高齢夫婦の世帯では、そんなに毎日面白いことなんて起こるものではありません

テレビでは若者向けのお笑い番組が増え、すきな歌手や演劇などの観劇等にも足が遠のいている状況では、面白いことを探すのも一苦労となります。

そこで次の項では、生活の中で無理なくできる笑いを増やす方法をお伝えします。

笑いを増やす方法

環境によって実践できるものとできないものがあると思いますが、試してみてください。

赤ちゃんや幼児の力を借りる

高齢の方が頬をほころばせる場面と言えば、孫やひ孫と一緒にいるときではないでしょうか。

孫でなくても、道ですれ違っただけの赤ちゃんでも効果が出るほどなので、その効果は絶大です。

また、幼児の思いもよらぬ行動も笑いにつながります。

もし遠方の祖父母にお孫さんの顔をあまり見せていないという方がいたら、ぜひお顔を見せてあげてください。

動物の力を借りる

ドッグセラピー、アニマルセラピーというものがありますね。

これは本当に効果があります。

しかし、ご自宅でセラピーを受けるのは難しいですし、新たにペットを飼い始めるのはお世話の負担もあります。

そこで、散歩を日課にして、犬のお散歩風景を楽しむのはどうでしょうか。

散歩は健康増進にもなりますし、一石二鳥です。

また、まだお早いとは思いますが、介護のデイサービスなどでもペットを飼っていたり、ペットセラピーを実施しているところもあります。

介護予防事業(要介護よりも前の段階の方向けのサービス)の利用が可能かどうか、お近くの地域包括支援センターなどへ問い合わせてみるのもよいかもしれません。

他者との交流も笑いのタネとなります。

シルバー川柳を考える

シルバー川柳は公益社団法人全国有料老人ホーム協会が毎年公募しています。

高齢者特有の出来事やアルアルなどを川柳にするものですが、読んでみるととても感慨深いものがあります。

加齢に伴う変化の要素が含まれているため、ともすれば悲観的にとらえてもおかしくないのですが、どの作品もニヒルな笑いというか、思わずニヤッとしてしまうような作品ばかりなのです。

自分で作るのは苦手な方は、シルバー川柳を読むだけでも日常がネタの宝庫に変わって見えるかもしれません。

周りの人が笑う

つられて笑ってしまうことってありますよね。

その逆で、笑いたくても周囲が笑っていないと控えてしまうこともあります。

よく笑う人を見ているだけでも、気持ちが明るくなるものです。

高齢の方と接するときは、意識して声を出して笑ってみましょう。

面白くなくても声を出してみる

面白いから笑うというと、面白いことが起こるまで笑えません。

「笑いヨガ」というものがあり、そこでは体を動かしながら「あーっはっは」と先に笑い声を出してしまうのだそうです。

大声で笑うのと同等の効果が得られるということで、普及し始めている活動です。

そこまでできなくても、最近笑っていないなと思ったら頬を上げて「あ・は・は」と言ってみることから始めてもいいかもしれません。

意識して笑ってみよう

お金や特別な手間をかけずに、日常に笑いを増やす方法をお伝えしました。

そんなことできないわよとお思いの方でも、笑いの大切さは伝わっているとうれしいです。

もし、一人でいるときに頬や口角が下がり切っているなと感じたら、意識的に笑顔を作ってみましょう。

笑う門には健康促進と認知機能低下予防が来るはずです!

ライター名(ランサーズ名):石塚もここ

<経 歴>

音楽大学中退後、介護福祉士・介護支援専門員として自転車に乗り地域を奔走する3児の母。

ライター業も加わり4足のわらじを履いている。

通所リハビリで取り組んだ音楽療法ではお年寄りと一緒に本気で歌謡曲を熱唱していた。

介護へのナーバスな印象を払拭したい思いで介護関連の記事を書いている。



カテゴリー:その他・予防法, 介護福祉士【予防】

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bottleship7
3 years ago

笑いは、がん細胞が消えると言う説もあります。

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