【ep 117】二度のうつを経て【医師でも罹る危険なうつ】

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

私は外科系の医師ですが34歳でうつ病を発症し、これまで2回の治療歴があり60歳の今も続いています。

うつ病は大変つらい病気ですが、皆さんもおっしゃっているように付き合っていける病気だとおもいます。

これから書くことはとりとめのない話ですが、同じような症状で苦しんでいる方が自分だけじゃないのだと思っていただけるとよいと思って書かせていただきます。

もくじ

1回目の発症の頃の様子

日々悪化していく症状

32歳で2年間の単身留学から帰国しました。
アメリカでの生活は想像以上に過酷で一時期アルコール中毒になりそうでしたが、なんとか持ちこたえて帰国しました。
帰国後から時々後頭部がジワーとする嫌な感じを覚えるようになりましたが、なるべき気にしないようにしていました。

ある日、休日当番の病院で仕事中に急に視界が右下がりに傾き始め、立っていられなくなりそのまま入院になりました。

翌朝目覚めた後、更に体調が悪くなりはじめました。

目が覚めた瞬間はとても気持ちよく「あっ、治ったのかな」と感じたのですが、ほんの数秒後に全身の軽い痺れと吐き気が出現し「あ~今日もだめだ」と絶望しました。
また、食欲が全くわかず日に日に痩せていくので焦りました。

入院中にあらゆる検査をしましたが原因がわからないまま退院となり、休職し実家へもどり父母の世話になりました。

3か月ほどは静養していましたが、少し体力が戻ってきた気がしたことと、このままでは復職できないという焦りから職場に復帰し、定時に帰宅できる外来勤務から始めさせてもらいました。

しかし体調は良くならず、もうどうしようもないというところまで追い詰められた時にふと、もう精神科に相談するしかないという考えが頭に浮かび、そのまま昼休みに大学病院を受診しました。

初めての精神科受診

精神科のドクターは私の話を聞く前に点滴をすると言いだしました。

不思議に思いながら点滴を受けていると、ものすごく体がつらくなってきてその間に問診が始まりました。

問診を受けながらこの点滴を中止してくれないかと頼みましたが無視され、点滴終了後に内服薬の処方箋をもって診察室を出ると驚きの瞬間が訪れました。

目の前の霧が一瞬で晴れたように以前の自分に戻っていたのです。

あまりに劇的で信じられませんでした。

精神科のドクターは偶然にも大学の同級生で最初からうつを疑って診断的治療を試みたのだと思います。

その後、内服薬が継続処方となりましたが、数か月間良くならなかった症状が一瞬で良くなったため、私は少し有頂天になり半年くらいで通院を止めてしまいました。

その後結婚もして二人の子供にも恵まれて順調に生活し23年の歳月が過ぎました。

2回目の発症の頃の様子

職場で部長職になったころのこと、上司のやり方に不満を感じていた私は自分で職場を探し病院を移りました。

すると移った先の病院では自分のイメージしていた仕事と違うことが多く、疲れがたまってくるのがわかりました。

2か月くらいで体調が悪くなり、偶然となりのデスクにいた精神科の先生に相談するとすぐに休んだ方がいいと言われそのまま帰宅しました。

これではいけないと受診を考えましたが、精神科のクリニックはどこもいっぱいで新患を受け付けていませんでしたので、以前診てもらった同級生に連絡をして40kmほど離れた彼のクリニックに通うことにしました。

それから3か月間、2週間おきに通院をして薬の調節をしてもらいました。

最初は車の運転もしんどくて妻に乗せて行ってもらいました。
自宅ではほぼソファにもたれた状態で一日を過ごし、頭のなかで花火が散るような症状に耐えつつテレビも見ることができず音楽を聴くだけの日々でした。

顎や足の痙攣、半身のしびれなども経験しました。

3か月後、症状が良くなってきたため職場で産業医の先生と人事課の方に復職プログラムを作っていただき仕事の内容を少しずつ検討しながら復職しました。

通院間隔は2週間から3週間へ更に4週間へとのび、調子が出てくるのと同時に体重が増加しました。

現在の状況

職場復帰して2年になりますが、今はほとんどフルタイムで仕事をしています。

その間、薬は減量してきたのですが中止にはなっていません。
早い段階で何回か減量をしてもらったのですが、そのたびに調子が崩れ主治医も今は慎重になっているようです。

こんなわずかな量で効いているのかなと冗談もいいます。

診察の時に常に質問されることが食事と睡眠です。
この両方がうまくいっていれば体調はくずれないようです。

良質な睡眠をとるには薬の助けもいりますが、筋肉をほどほどに疲れさせることが大事だと思います。
また、頭が疲れすぎても眠れません。
筋肉をつかれさせ頭がそれに引きずられるように眠りにつくことが大事です。

そう考えてからは、以前よりむしろ体を動かすことに積極的になりました。

最後に

うつ病は気分が落ち込むとは限りません。
やる気満々なのに体がつらくて焦って身の置き所がなくなり地獄にいるように感じるケースもあります。

私も仕事が嫌いではありませんが、引退したらうつは治る気がします。

少しでも疑ったら通常の診療科ではなく精神科の受診をお勧めします。

以上、冒頭にお断りしたとおり取り留めのない話になりましたが医者が患者になって感じた事を正直にお話しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



カテゴリー:体験談

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